トリプルブルーと金融市場

2021/01/08

▣ 米国はトリプルブルー

1月5日にジョージア州で実施された米連邦議会の上院2議席をめぐる決選投票では、民主党の候補者がいずれも勝利を確実にしました。この結果、上院は50対50で民主党と共和党の議席数が並びますが、民主党のハリス次期副大統領が上院議長として決定票を投じることができるため、民主党が実質的な主導権を握ることになります。

これにより大統領職と上下両院議会の多数派を民主党が占めるトリプルブルー(ブルーウェーブ)となり、バイデン次期大統領の政策の実現可能性が高まりました。市場では、バイデン氏が掲げる政策が成立しやすくなり、大型の景気刺激策の早期実施やインフレ上昇への思わくが強まりました。

米国では昨年12月下旬に9,000億ドル規模の財政出動が決まったばかりですが、バイデン氏は1月20日の新政権発足後早々にも、インフラ投資などの新たな経済対策を打ち出す考えを表明しています。

▣ 金融市場は

米株式市場では、上院を共和党が制することで米議会がねじれ状態になり、バイデン氏が掲げる規制強化や法人税増税の実現が厳しくなるとの見方が相場を押し上げる一因になっていましたが、トリプルブルーになったことで大規模な経済対策への期待が強まるなど、いいとこ取りの動きも広がりそうです。とはいえ、大手ハイテク企業に対する規制強化、法人税増税への懸念に加え、米長期金利の上昇による企業収益や住宅市場などへの悪影響は重しになりそうです。

米債券市場では、長期金利(ここでは10年債利回り)が1月6日には昨年3月以来の1%台に乗せました。景気押し上げによる期待インフレ率の上昇に加え、大規模な財政出動で米国債が増発され需給が悪化するとの懸念が、金利を押し上げた模様です。また、財政政策が拡大することや期待インフレ率の上昇を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による一段の金融緩和への期待が後退するとの見方も、長期金利の押し上げ要因になりそうです。

ドル円については、米長期金利の上昇はドル高材料ですが、米国の財政赤字拡大はドル安材料となり、ドル円の上値は限定的になる可能性がありそうです。ただ、これまでより米金利の動きに振らされる場面も増えそうです。

今後は、バイデン新政権の政策運営に加え、FRBが長期金利の上昇抑制に動くかどうかも注目されます。やや先の話ですが、FRBによるゼロ金利政策は続くものの、順調に米経済が回復していくと、米国債などを買い入れる量的緩和(QE)の縮小(テーパリング)観測が浮上する可能性があります。緩和マネー縮小への警戒から、市場が不安定になることには注意が必要です。

 

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