「正義」とは?:ロシア・ウクライナ戦争の勃発から1年
予想は困難
世の中では、理不尽で予測困難なことが多数あります。その最たるものは、戦争でしょう。ロシアとウクライナの戦争も、勃発してから1年が経過しましたが、このひどい戦争の行方は、極めて不確実です。
昨年2月24日にロシア軍がウクライナ侵攻を開始したとき、戦争が1年以上にもわたり続くと予想した人は、多くありませんでした。しかし実際には長期化の様相を強め、少なくとも今年終盤までは戦争が続く、との見方が今や優勢です。金融市場でも、ウクライナ情勢は懸念材料として残り続けるでしょう。
双方の姿勢
戦局は膠着(こうちゃく)していますが、ウクライナ、ロシアとも、戦争継続に前向きです。ウクライナでは、大半の国民が勝利を信じているようです。ゼレンスキー大統領も、ロシアに譲歩する意向を全く見せていません。
ロシアでは、プーチン大統領への支持は根強く、政権転覆の動きなどは小規模のようです。反戦論者は存在するものの、その声は抑圧され、また、そうした人々の多くは外国へ移住済みです。このようなウクライナ、ロシアの国内情勢を背景に、他方を利する停戦協定には、双方とも断固拒否し続けるでしょう。
戦争は続く
欧州や米国は、ウクライナを一貫して強く支持し、武器・資金面の支援を継続しています。ただし、欧米とロシアとの全面対決や、ロシアの核兵器利用を恐れる欧米政府は、戦闘機の供与などには消極的です。
一方、ロシアでは、戦争を優位に遂行するための武器や人員が不足しており、これは解消困難です、それらを踏まえると、ウクライナ、ロシアとも、当面の戦闘で決定的な勝利を収めるのは、ほとんど不可能でしょう。以上のことから、この残酷な戦争はまだまだ続く可能性が非常に高い、と言わざるを得ません。
欧米の正義
このまま戦争が続けば、死傷者が双方で増加するでしょう。また欧米では、ウクライナへの武器・資金支援が続き、財政を圧迫します。そういった懸念を背景に、欧米でも、停戦を望む声が少なくありません。
それでも欧米では、専制的なロシアの圧力からウクライナの民主主義を守るのが「正義」、との信念から、ウクライナが勝利するまで戦争を続けるべき、という論調が優勢です。しかし世界では、早期停戦を望む国も存在します。ロシアとの経済・政治・軍事的な関係が深い、インド、トルコ、中国などです(図表1)。
世界の正義
金融市場で警戒されるのは、特にエネルギーや農産物の値上がりです。ロシア、ウクライナはそれらの大生産国であり、戦争勃発で相場が一時高騰しました。これが昨年、世界的なインフレを助長しました。
食料価格は足元軟調となっていますが、数年前と比べれば、まだ高い水準です(図表2)。それらの結果、アフリカなどでは今、飢餓に苦しむ人が増えています。ウクライナとロシアが停戦すれば、そうした苦難が和らぐはずです。死傷者や飢餓を抑制する観点からは、早期停戦こそ「正義」なのかもしれません。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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