中国に最大の試練?:コロナウイルスをめぐるジレンマ

2022/12/05

難しいジレンマ

中国政府は、ジレンマ(板挟み)に直面しています。健康重視の観点からは、コロナウイルスの感染抑止策を続けねばなりません。しかしそれは行動制限を伴うため、目先の景気回復を困難にするでしょう。

よって習近平政権は、最近では最も難しい試練に立たされている、と言えそうです。11月中旬には、感染対策を事実上緩和する方針が示されました(隔離期間の短縮や、非効率的なロックダウン(厳格な行動制限)の緩和など)。しかしおそらくそうした方針などのため、北京などで感染が拡大してしまいました。

抗議運動が発生

中国政府のジレンマや試練をさらに厳しいものにする動きが、11月下旬に発生しました。ロックダウンや就職などに対する若者の不満を背景に、北京、上海など多くの主要都市で、抗議運動が生じたのです。

きっかけは、ウイグル自治区の火災で10人超の死傷者が出たことです。行動制限のため、消防車による消火や住民の避難が遅れた、と抗議運動参加者は言うのです。これを受け、厳しい行動制限に対する不満が、地方政府だけでなく北京政府にも向けられています(ただし、抗議運動の大半は小規模かつ平和的)。

運動は若者主体

こうした不満の表出は、極めて異例です。今回に限らず、中国各地では、頻繁に様々な抗議運動が起こっています(公害への抗議など)。しかし、北京政府に対する今回のような直接的抗議は、珍しいことです。

ただ、今回の抗議運動は若者主体であり、一般的な人々はこの運動を全面的に支持しているわけではありません。むしろ、これまでのコロナウイルス対策を支持する国民が少なくないのです。多くの中国人は、感染抑止策の緩和による感染急拡大を恐れています。また、中国人としてのプライド(誇り)も強固です。

国民のプライド

近年の劇的な経済成長で、中国人の誇りが高まりました。そして2020年以降、コロナウイルスの犠牲者数が欧米などよりもはるかに抑制されていることが、中国式の政治・社会体制への誇りを高めました。

この点でも、中国政府の試練は最近では前例のないもの、と言えます。中国人のプライドを維持するためには、厳しい対策を続け、感染を抑制せねばなりません。しかしそれは、若者らの不満を増幅しかねません。そして若者らによる抗議運動が拡大し、中国の政治的・経済的な混迷が一段と深まりかねません。

株価は一旦反発

まず行うべきは、ワクチン接種の推進です(接種の強制は慎むべきですが)。中国では高齢者のワクチン接種率が伸び悩んでおり(図表1)、ロックダウンの拙速な解除は感染の爆発的拡大を招く恐れがあります。

ただ、部外者である欧米や日本の人は、中国の事情を正確に把握できません。金融市場を見ると、今回の抗議運動を欧米メディアがうれしそうに報じる中、株価はむしろ反発しています(図表2)。中国などの投資家は、中国の将来を楽観視しているのでしょう。そうした楽観の方が、実は正しいのかもしれません。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
しんきん投信「トピックス」   しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融市場の注目材料を取り上げつつ、表面的な現象の底流にある世界経済の構造変化を多角的にとらえ、これを分かりやすく記述します。
<本資料に関してご留意していただきたい事項>
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会

このページのトップへ