米国取材報告③:「自由」の代償
米国は悪い方向に
米国は、悪くなる一方なのでしょうか。実際、世論調査では、「悪い方向に進んでいる」と答える人が多数です(図表1)。米国の強い影響下にある日本も、米国の経済、社会などの悪化を懸念せねばなりません。
米国では、思想や支持政党の違いなどによる分断が極めて深刻です。今は民主党のバイデン氏が大統領なので、共和党支持者が「悪い方向へ進んでいる」と答えるのは自然です。問題は、民主党支持者の大半も、そう答えていることです。経済、社会、政治などに関する不満が、国民全体に広がっているのです。
問題の解決は困難
現在は特に、食品や燃料などの値上がりが人々を怒らせています。そうした値上がりは、バイデン政権の政策ミスが主要因ではありません。ただ、インフレを和らげる政策は、たしかに不十分かもしれません。
さらに、銃などによる犯罪や人種差別などをめぐる議論の混迷が、自国に対する米国民の悲観を強めています。それらの議論では多様な主張が鋭く対立し、国民が一致団結するのは至難です。米国メディアはそれらに関する論評を日々掲載していますが、それらを読んでも、問題解決の糸口は全くつかめません。
米国の歴史と価値
分断が深まり、意思統一が困難となるのは、米国の宿命です。米国人の多くは、「善か悪か」「リベラルか保守か」といった二項対立を好みます。また、個人の自由を尊重するため、主張の相違が必ず生じます。
「自由」は、米国の柱です。信仰の自由や英国からの自由などを求める欧州系の人々が、米国の基礎を築いたのです。また米国の自由な気風は、技術革新を促し、世界の発展をリードしてきました。よって米国は、「自由」を捨てられません。しかし自由すぎることは、意思統一を妨げ、社会の分断をもたらします。
日本から見た米国
日本では、窮屈な同調圧力や権力者への過剰な忖度を強いられます。そのため、もっと自由に生きられる米国は、理想的な国に見えるかもしれません。しかし「自由」の代償にも、目を向けねばなりません。
筆者は7月、約4年ぶりに米国へ行くことができました。海外への往訪も久々のことですが、様々な国を訪れた経験から言えるのは、全く当たり前のことです。つまり、日米を含め、どの国にも良い面と悪い面があるということです。ただ、米国ほど良い面と悪い面との対照が鮮やかな国は、ほかにないでしょう。
米国からの解放へ
米国に民主化を助けられた日本は、主に米国の良い面を見てきました。しかし今、米国が混迷する一方、中国などアジア新興国の躍進は止まりません。アジアに属する日本は、どこへ向かうべきなのでしょうか。
「自由」や民主主義を愛し、米国の威容(写真1、2)や活力を見てきた筆者は、米国に敬意を払っています。しかし、銃による殺傷や人種差別などが大きな問題となる国は、理想郷とは言えません。多くの米国民も「悪い方向に進んでいる」と嘆く米国の過度な影響から、日本は解放され、自由になるべきです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会