米国取材報告③:「自由」の代償

2022/08/15

米国は悪い方向に

米国は、悪くなる一方なのでしょうか。実際、世論調査では、「悪い方向に進んでいる」と答える人が多数です(図表1)。米国の強い影響下にある日本も、米国の経済、社会などの悪化を懸念せねばなりません。

米国では、思想や支持政党の違いなどによる分断が極めて深刻です。今は民主党のバイデン氏が大統領なので、共和党支持者が「悪い方向へ進んでいる」と答えるのは自然です。問題は、民主党支持者の大半も、そう答えていることです。経済、社会、政治などに関する不満が、国民全体に広がっているのです。

問題の解決は困難

現在は特に、食品や燃料などの値上がりが人々を怒らせています。そうした値上がりは、バイデン政権の政策ミスが主要因ではありません。ただ、インフレを和らげる政策は、たしかに不十分かもしれません。

さらに、銃などによる犯罪や人種差別などをめぐる議論の混迷が、自国に対する米国民の悲観を強めています。それらの議論では多様な主張が鋭く対立し、国民が一致団結するのは至難です。米国メディアはそれらに関する論評を日々掲載していますが、それらを読んでも、問題解決の糸口は全くつかめません。

米国の歴史と価値

分断が深まり、意思統一が困難となるのは、米国の宿命です。米国人の多くは、「善か悪か」「リベラルか保守か」といった二項対立を好みます。また、個人の自由を尊重するため、主張の相違が必ず生じます。

「自由」は、米国の柱です。信仰の自由や英国からの自由などを求める欧州系の人々が、米国の基礎を築いたのです。また米国の自由な気風は、技術革新を促し、世界の発展をリードしてきました。よって米国は、「自由」を捨てられません。しかし自由すぎることは、意思統一を妨げ、社会の分断をもたらします。

日本から見た米国

日本では、窮屈な同調圧力や権力者への過剰な忖度を強いられます。そのため、もっと自由に生きられる米国は、理想的な国に見えるかもしれません。しかし「自由」の代償にも、目を向けねばなりません。

筆者は7月、約4年ぶりに米国へ行くことができました。海外への往訪も久々のことですが、様々な国を訪れた経験から言えるのは、全く当たり前のことです。つまり、日米を含め、どの国にも良い面と悪い面があるということです。ただ、米国ほど良い面と悪い面との対照が鮮やかな国は、ほかにないでしょう。

米国からの解放へ

米国に民主化を助けられた日本は、主に米国の良い面を見てきました。しかし今、米国が混迷する一方、中国などアジア新興国の躍進は止まりません。アジアに属する日本は、どこへ向かうべきなのでしょうか。

「自由」や民主主義を愛し、米国の威容(写真1、2)や活力を見てきた筆者は、米国に敬意を払っています。しかし、銃による殺傷や人種差別などが大きな問題となる国は、理想郷とは言えません。多くの米国民も「悪い方向に進んでいる」と嘆く米国の過度な影響から、日本は解放され、自由になるべきです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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