ダイナミックな中国:経済も感染対策も、日本とは違う

2022/04/18

いまもコロナは脅威

コロナウイルスは、いまも世界的な脅威です。感染第7波に襲われつつある日本も、あらためて感染防止に努めねばなりません。ただ、世界経済への影響という点で最も注視すべきは、中国の感染拡大です。

中国では今年3月以降、感染が急拡大しています(図表1)。特に、商業、貿易における中国最大級の都市、上海市においてです。同市などのロックダウン(活動制限)が厳格化、長期化すれば、サプライチェーン(製品などの供給網)は一層の混乱を余儀なくされ、世界的なインフレを助長するかもしれません。

中国経済への影響は?

感染拡大やロックダウンは、中国の経済活動を少なくとも一時的には圧迫します。実際、例えば3月の自動車販売台数は、前年比11.7%減となりました。多くの工場における操業停止などが、主な要因です。

ただ、1-3月期の経済成長率は、底堅さを見せました(図表2)。とはいえ、ロックダウンの影響が広がったのは3月以降なので、4-6月期には急減速する可能性があります。この場合、政府が掲げる「5.5%前後」という今年の成長率目標は、達成が困難になりそうです(ただし、日本の成長率を上回る公算大)。

ダイナミック・ゼロ

これは、習近平主席らにとり、悩ましい状況です。健康第一の観点からは、あらゆる手段で感染を抑止せねばなりません。同時に、極端な抑止策は経済活動を圧迫することを、同主席らは十分理解しています。

健康と経済の両立という難題に直面し、中国の感染対策には、微妙な変化が生じています。最近、よく使われるのは、「ダイナミック・ゼロ-COVID戦略」という言葉です。その意味は、国営新華社通信によると、感染者ゼロを追求するのでなく、可能な限り短期間で感染をコントロール下に置く、ということです。

中国の対策は試練に

昨年まで、中国の感染対策はほぼ成功しました。果敢なロックダウンなどが奏功し、人口あたりの感染者や死亡者は、欧米や日本と比べ、はるかに少なかったのです。経済成長率も、相対的には高水準でした。

そうした成功は、今年も続くとは断定できません。中国でも、桁外れの感染力を持つオミクロン型ウイルスが広がっているからです。その結果、大量検査、迅速隔離、ロックダウンといった中国式の対策でも、感染を抑え切れなくなっています。したがって中国は、ワクチンの有効性向上などにも尽力すべきです。

世界経済への影響は?

ただし、感染急増が上海などに集中している限り、中国がマイナス成長に沈む可能性は低いでしょう。日本とは違って中国は一極集中の国でないため、上海の経済規模は、中国全体の約4%にすぎないのです。

また上海でも、港湾の操業などは許容されています。そのため現時点では、国際的なサプライチェーンの混乱などは限定的です。さらに、感染抑止が確認された地区では、ロックダウンが緩和されています。よって感染が中国全土に急拡大しなければ、世界経済に対する影響も、一時的なものにとどまりそうです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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