共に勝つ!:中国経済の成長を、他国の愛国者も歓迎
win-winを実現
中国と日米との関係は、習近平主席が好む「win-win(共に勝つ)」という言葉どおりです。互いの経済は、深く依存し合っているからです。よって筆者のような愛国者も、中国の成長を歓迎すべきでしょう。
中国では昨年、経済成長率(図表1)が8.1%と、政府目標の「6%以上」を達成しました。それを支えたのは、国内における生産・消費の底力に加え、米国人などの所得増に伴う中国製品への旺盛な需要です。このように昨年は、米中などのwin-winが実現しました。そうした良い関係は、今年も続くのでしょうか。
気がかりな減速
気がかりなのは、昨年後半、中国経済の減速が明瞭になったことです。実際、10-12月期の成長率は前年比4.0%と、鈍化が続きました(1-3月期に18.3%を記録した後、4-6月期は7.9%、7-9月期は4.9%)。
特に、住宅市場の停滞に圧迫されました。「中国恒大集団」など開発業者の経営不安が、まだ根強いためです(ただ、政府・中央銀行は柔軟な政策姿勢も見せているため、過度な不安は緩和)。また、コロナウイルスへの警戒感などから個人消費の伸びも鈍化し、12月の小売売上高は、前年比でわずか1.7%増でした。
党大会を控えて
とはいえ、オミクロン型の感染が日本のように急拡大しなければ、中国は今年、5%前後の経済成長が可能でしょう。財政・金融政策による景気支援を、政府・中央銀行が積極的に行うとみられるからです。
金融政策については、すでに利下げが始まっています。また、手薄だった家計や中小企業への支援策も、今後拡充されそうです。習近平体制の有能さを証明すべく、国民の生活を支えることが必須だからです。習主席の3期目入り(1期は5年)承認を目指す今秋の共産党大会を控えているだけに、なおさらです。
中国製品に依存
堅調な輸出も、引き続き中国の発展を支えるでしょう。昨年12月の輸出は前年比で約21%増となり、年間輸出額(図表2)は過去最高を更新しました。また、対米貿易黒字は、昨年に約25%も増えました。
中国製品への世界的な需要は、増える一方なのです。日米の人々も、身の回りを見れば、MADE IN CHINAの製品に頼っていることを実感するはずです。日米の企業が中国以外の国へ生産拠点を移す動きも、特段加速していません。多数の勤勉かつ器用な労働者という点で、中国に完全に代替し得る国は無いのです。
lose-loseを回避
昨年末には、「第1段階の米中合意」の期間が、静かに終わりました。2020年1月からの2年間で、米国の対中輸出(農産品、工業品、エネルギーなど)を計2,000億ドル増やす、という合意のことです。
結局、農産品の輸出は急増したものの、総額の輸出実績は目標を40%ほど下回った模様です。しかしバイデン米政権は、これを静観しています。貿易摩擦が再び激化すれば、米中は「lose-lose(共に負ける)」を余儀なくされます。米国を愛するバイデン現大統領は、前大統領とは違い、それをよく理解しています。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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