2022年の世界経済10大予想:コロナに適応する時代へ

2022/01/04

【感染が続く新しい生存環境に、人々は適応】

コロナウイルスは、世界に定着しました。2022年も、その感染動向や各国の対応が注目点です。ただ、人々は「コロナと共存する」新しい環境に適応しつつあります。よって、さらに強力な変異型が生じない限り(発生の可能性は否定できませんが)、世界経済の回復は続き、以下の予想は、大きくは外れないでしょう。

1 世界経済の成長率は、過去の平均を上回る

2021年、世界の実質GDP(総生産)は力強く回復し、コロナ前(2019年)の水準をすでに超えた模様です。そして2022年の世界経済は、4%台の伸び(GDPの前年比増)が予想されます。5%台後半とみられる2021年に比べ若干の減速ですが、4%台であれば、過去10年間の平均(約3%)を上回ります。

2 米欧や中国は、当然のことながらやや減速

米欧や中国の経済も、2021年に高成長をとげた後、2022年は、やや減速しそうです。とはいえ、2021年の高成長は、活動制限の緩和という特殊要因によるので、減速は当然であり、悪いことではありません。

3 日本は、昨年の出遅れゆえに成長率が上昇

一方、日本経済の成長率は、2021年より2022年の方が高くなりそうです。ただしこれは、緊急事態宣言の長期化などの結果、2021年の成長率が低すぎた(1%台の見込み)ためなので、あまり喜べません。 

4 世界経済の行方に関し、鍵を握るのは中国

2022年に最も注目すべき国は、中国でしょう。中国経済は規模が巨大である上、景気刺激策、コロナウイルスに対する感染防止策、不動産市場の規制方針などによって、成長率が大きく変わり得るからです。 

5 感染が収束せずとも、経済は底堅さを示す

ただし感染が続いても、オンライン化などで、大半の経済活動は問題なく(むしろ効率的に)続けられます。そうした適応のおかげで、中国を含め主要国の経済が極端に落ち込む恐れは、あまりありません。

6 サプライチェーンは、正常化にはまだ遠い

とはいえ、中国などで感染が広がると、サプライチェーン(供給網)に支障をきたします。一方、オンライン化に伴う電子機器などの需要は依然旺盛なので、2022年も、供給網の完全な正常化は期待薄です。

7 インフレ率は依然高いものの、低下傾向に

供給制約によるインフレ(物価上昇)圧力は、2022年も根強いでしょう。特に米国のインフレ率は、旺盛な物品需要や賃金増を背景に、適切とされる2%を大きく上回る水準で推移する見込みです。ただ、原油価格の高騰は一服しているため、米国のインフレ率は2022年の春以降、低下傾向を示す見通しです。

8 米国で見込まれる利上げは、自然かつ適切

それでもインフレ率が中央銀行の目標を明確に上回り、雇用改善も続くとみられる中では、2022年に、米国などで政策金利の引上げが行われるでしょう。それ自体は、景気回復に伴う、自然で適切な措置です。

9 米国株は上昇する公算だが、過熱感に注意

よって米国での3回程度の利上げは、大きな株安材料とならない見込みです。米国の堅調な景気・企業業績や、国債の魅力が乏しい(低利回り)ことを踏まえると、米国株は、2022年も上昇する見通しです。ただ、S&P500指数は2021年に27%も上昇したので、高値警戒感に圧迫される局面も増えそうです。

10 日米の経済格差を背景に、円安圧力は残る

2021年は、筆者の予想に反し、円安が大幅に進みました(ドル円は年初に103円付近→年末に115円付近)。日本経済は予想以上に弱く、米国などとの景気格差が鮮明になったのです。2022年も日本は、低いインフレ率を背景に、超金融緩和を続けざるを得ないため、円高へ大きく振れる可能性は低いでしょう。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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