激動のアフガニスタン:神の意志、測りがたし

2021/08/23

米国の覇権終了か

イスラム教によると、「神の意志」は、歴史を通じて顕現します。いまアフガニスタンで起こっている歴史的事件も、米国の覇権を終わらせる、という神の意志、換言すれば、宇宙の摂理を表すのでしょうか。

つまり、20年近くにわたるアフガニスタン戦争で、米国が事実上の敗北を喫したのです。勝利したのは、イスラム原理主義組織、タリバンです。今後の展開を人間が予測するのは困難ですが、米軍の撤退、タリバンのアフガニスタン制圧という現在の動きは、米国衰退を象徴するものとして、歴史に残りそうです。

威信に対する打撃

アフガニスタンの政府と国軍を支援してタリバンを倒し、自由と民主主義を根付かせる。これが米国の大義でしたが、米軍撤退は、その挫折を意味します。よって米国の威信低下は、おそらく避けられません。

それでも、バイデン米大統領が撤退(現時点の期限は8月末だが、延長の可能性あり)を進めているのは、腐敗したアフガニスタン政府への失望が根底にあるのでしょう。また、アフガニスタンからの撤退は、もともとバイデン氏の公約です。世論もそれを支持していた以上、米軍撤退は、合理的な政治的判断です。

バイデン氏の誤算

しかし、バイデン氏は、タリバンの実力を侮っていたようです。一方、アフガニスタン国軍の士気は、同氏の想定以上に低下していました。そのため予想外の短期間で、タリバンは、ほぼ全土を制圧しました。

そうした中、首都カブールの空港などでは、大混乱が生じています。女性差別や残虐な刑罰で知られるタリバンを恐れる人々が、国外への脱出を図っているのです。それらの映像を見て、多くの米国民は、状況の深刻さを理解したようです。米軍撤退に関しても、反対派が数か月前に比べ急増しています(図表1)。 

中国もテロを警戒

米国民らが恐れているのは、国内でのテロ再発です。かつてタリバンは、2001年9月の米同時多発テロを実行した組織、アルカイダを保護していたからです(米国がタリバンと開戦したのも、それが理由)。

タリバンは現在、政権を握ってもアフガニスタンをテロリストの温床にすることはない、と約束しています。しかし約束が守られる保証はなく、中国などの周辺諸国も、それを非常に警戒しています。また、タリバン主導の政権へ移行する(ほぼ不可避か)過程で内戦が激化すれば、多数の難民が生じるでしょう。

世界に対する影響

アフガニスタン経済については、この10年ほど停滞しており(図表2)、国内総生産の規模は、日本の200分の1未満です。よって、それが混乱したとしても、世界経済への直接的影響は軽微と考えられます。

しかしタリバン勝利で、ほかのイスラム過激派も自信を得たはずです。これに伴いテロが各国で勃発すれば、世界を激動の渦に巻き込みます。また、欧州などが危惧するのは、難民の流入です。何よりアフガニスタン人の安全や人権は、どうなるのでしょうか。それらの行方は、「神のみぞ知る」としか言えません。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

 

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