米中対立!: しかし、気候問題では協調!!

2021/04/26 <>

共通の課題が団結を促進

様々な人が住む国をまとめようとするとき、最も手っ取り早い方法は、敵やライバルを外部に設けることです。多様な国からなる世界が団結に向かうのも、共通の敵や困難な課題に、人類が直面したときです。

コロナウイルスや地球の気候変動は、まさしく世界共通の問題です。ウイルスや気候変動は、人間が勝手に作った国境に配慮してくれません。したがって、それらに勝利するためには、グローバルな団結が不可欠です。極右勢力の多くがウイルスや環境問題を軽視するのは、そうした団結を好まないからでしょう。

気候問題では世界が協調

コロナウイルスに関しては、現時点で、世界は十分な団結に達していません。特にワクチンをめぐっては、各国が自国民の接種を優先するあまり、争奪戦の様相を呈し、新興国などでの普及が遅れています。

一方、気候変動問題については、協調気運が高まっています。4月22-23日には、米大統領の主催で、気候変動サミットがオンライン形式で開催されました。このサミットには、中国やロシアの首脳も招待されたのです。また、それに先立つ上海での米中高官会談では、気候問題における連携が明言されました。

国内事情も連携を正当化

実際、人類が気候変動問題を克服するには、米国と中国の連携が必須です。二酸化炭素の排出量(図表1)は、米中で世界の4割超を占めます。よって、この2つの大国が問題意識を共有せねばなりません。

連携による環境対策は、米中両政権に好都合なので、決して不可能ではありません。中国では、それにより大気汚染が改善すれば、現体制の正統性が高まります。米国でも、気候変動は身近な問題であり、大半の人が深刻に考えています(図表2)。そのためバイデン政権は、それを最優先課題の一つとしています。 

今秋のCOP26に期待

今般の気候変動サミットには、米中、ロシア、欧州連合(EU)、インド、日本などを含む、40の国・地域の首脳が参加しました。そして、温室効果ガスの削減目標に関し、主要各国の決意が表明されました。

ただし、この取組みが今年の最高潮を迎えるのは、11月の一大イベントにおいてです。すなわち、英国のグラスゴーで開催される、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)のことです。この会議では、温室効果ガス削減に向けた国際的な合意が、より具体的な内容を伴って宣言されるでしょう。

米中の狭い考慮を超えて

もちろん、世界の団結、特に米中の協調は、容易ではありません。国内の結束を図るには、仮想敵国の設定、または、領土問題での緊張や野心が有効ですが、それらは必然的に、米中の融和を妨げるからです。

様々な面での米中対立も、その視点から理解すべきです。米国が人権問題などで中国を非難したり、中国が台湾問題などに固執したりするのも、要するに国内の結束を強めるためです。しかし、そうした狭量を超え、気候変動という、より大きな問題で米中は協調できるのか。世界平和は、ここにかかっています。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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