来週の金融市場見通し(2018年12月17日~2018年12月21日)
■来週の見通し
華為技術(ファーウェイ)幹部の保釈に加え、中国が米国産大豆の輸入再開や米国車の関税引き下げなどの報道を受け、米中貿易摩擦への警戒がやや後退しています。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げが見込まれますが、注目は来年以降の利上げがどうなるか。政策金利見通しやパウエルFRB議長の発言などで、米利上げ観測が後退すると、安心感が広がることも想定されます。
◆株価 : 慎重姿勢が継続
日本株は上値の重い展開が見込まれます。米中貿易摩擦に対する過度の懸念は和らいでいるものの、世界経済の減速見通しを背景に、投資家の慎重姿勢が続きそうです。こうした中、19日までのFOMCが特に注目されます。このFOMCでの利上げは株価にほぼ織り込まれていますが、今後については流動的です。今回、来年の利上げペース鈍化が強く示唆された場合には、米国株や日本株の支援材料となりそうです。
◆長期金利 : FOMCにらみ
長期金利は週初に0.035%まで低下した後は、低下し過ぎとの見方や、米長期金利がじりじりと上昇したことを受け、木曜日には一時0.06%まで上昇。ただ、週末は株価の大幅安を受け、大きく低下する動きになりました。週末に日銀が、国債買入れオペで残存期間「5年超10年以下」を減額したものの、影響は限定的でした。来週のFOMCで米利上げ観測が後退すると、国内金利にも低下圧力が掛かる可能性があります。
◆為替 : レンジ取引継続か
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測を背景に、週前半はドル円の下値は限られるでしょう。しかし利上げ実施後は材料出尽くし感から下値トライの可能性も。パウエル議長のハト派発言以降、米長期金利は3%を割れて推移しており、また、米中貿易摩擦問題の今後の展開は引き続き予断を許しません。年末にかけドル買い需要が想定されるものの、ドル円の上値は重く112円から114円のレンジ内での推移を想定しています。
◆Jリート : 高値もみ合い
東証REIT指数は、週初は株価の大幅下落で投資家心理が悪化したことや、年初来高値まで上昇していたことで利益確定売りが出やすかったことから、大きく値を下げました。ただ、週央以降は東京都心のオフィス空室率の低下を受け、安定した分配金利回りへの期待が広がったことや長期金利の低下を好感し、下げ幅を縮小する動きに。米利上げ観測が後退すると、日米の金利低下や投資家心理の改善を受け、買いが優勢になる可能性も。
■来週の注目点
消費者物価指数(11月、全国) 12月21日(金)午前8時30分発表
11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は9、10月と同じ前年比プラス1.0%が見込まれます。ただ、最近の原油安に伴うエネルギー価格などの下落により12月には1%を割り込むとみられ、さらに来年は0%台半ばまで低下すると予想されます。
なお、19、20日の日銀金融政策決定会合については、金融政策の現状維持が予想されます。日銀の物価目標(プラス2%)達成は絶望的な情勢ですが、景気は底堅いとみられる上、為替なども比較的安定していることから、当面、大きな政策調整は行われない見通しです。
米個人消費支出(11月) 12月22日(土)午前0時00分発表
10月の米個人消費支出(PCE)は、市場予想を上回り前月比0.6%増と8か月連続で増加し、個人所得も同0.5%増と市場予想を上回りました。PCE価格指数は前年比2.0%の上昇となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標と一致しました。
景気拡大が継続する中、引き続き個人消費支出は堅調です。個人所得は農家への補助金支払いなどの一時的影響はありますが、やはり基本的に堅調です。11月は個人消費支出、個人所得とも前月比0.3%程度の増加、PCE価格指数は前年比2.0%程度の上昇を想定しています。
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