来週の金融市場見通し(2018年11月12日~2018年11月16日)

■来週の見通し

米中間選挙は、上院は共和党が過半数を維持、下院は民主党が過半数を奪回し、「ねじれ議会」となりました。今後は、「ねじれ議会」の下での米政権の政策運営を確認していくことになります。来週13日は、欧州連合(EU)の財政規律違反として修正を求められた、19年度イタリア予算案の再提出期限。日本の7-9月期の実質国内総生産(GDP)、米消費者物価指数、米小売売上高なども確認したいところです。

◆株価 : ねじれを受けた米政権の政策運営を確認

注目の米中間選挙は、大方の予想どおり「ねじれ議会」となりました。米株式市場は重要イベントを無難に通過したとして大幅上昇、国内株も8日には買いが強まりました。米国のインフラ投資は進みやすくなったとの見方の一方、さらなる減税は難しくなったとみられます。今後、米政権が通商政策で強硬姿勢を強めることには注意が必要です。企業業績、米政権の政策運営を確認しながら、内外の株式市場は戻りを探ることになりそうです。

◆長期金利 : レンジ継続

長期金利は株価や米金利の動きをにらみながら、一進一退の動きが継続。米長期金利は、米中間選挙で「ねじれ議会」となったことで、米政権の財政拡張路線に歯止めがかかるとの見方から、一旦低下したものの、株価が大きく上昇したことや、FOMCで米利上げ継続が意識され、やや上昇する動きに。日銀が国債買入れオペを予定通りのオファー額で実施していることから、大きく動きにくい状況。日銀のオペ次第の状況が続きそうです。

◆為替 : 円安地合いも動きは限定的か

ドル円は、米連邦準備制度理事会(FRB)がFOMCの声明文で「一段の利上げが正当化される」との表現を維持したことから利上げ継続が意識され、米長期金利が上昇したことを受け、一時114円台まで上昇。もっとも、米利上げペースが加速するとの見方は強まっておらず、「ねじれ議会」となったことで財政悪化(国債増発)への懸念も後退しています。米長期金利の上昇が一服すると、ドル円の上値が抑えられる可能性があります。

◆Jリート : 底堅い動きの中、戻りを探る

東証REIT指数は、安定した値動きや相対的に高い分配金利回りに着目した買いに加え、米中間選挙を無難に通過した安心感から、8日には約3か月半ぶりの高値まで上昇。ただ、週末は利益確定売りが優勢に。10月の東京都心の空室率は2.2%まで低下、平均賃料は58か月連続で上昇と、オフィス市況は非常に堅調。また、予想分配金利回りは4.1%を超え、引き続き高い水準です。利益確定売りに押されながらも、底堅い展開を予想します。

来週の注目点

GDP統計(18/7-9月期、1次速報) 11月14日(水)午前8時50分発表

日本の実質国内総生産(GDP)成長率は、4-6月期に前期比0.7%増(年率3.0%増)となった後、7-9月期は0%前後への減速が見込まれます。特に個人消費が4-6月期に前期比0.7%増となった反動で、一旦鈍化した可能性が高いとみられます。また、7-9月期は豪雨や北海道地震に伴う輸出(訪日外国人による需要も含む)などの減少がGDP成長率を押し下げた模様です。ただ、これらは一時的なものであり、10-12月期以降は設備投資主導の緩やかな景気回復が予想されます。

米消費者物価指数(10月) 11月14日(水)午後10時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は9月に総合CPIで前年比2.3%の上昇と2月以来の低い伸びとなり、また、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.2%の上昇と8月と同じ伸びとなりました。

米国では個人消費を中心に景気拡大が継続し、家計の可処分所得は増加傾向です。しかし、足元、中古車、トラック価格が大きく低下するとともに、新車価格も4月以降で初めて低下に転じています。居住費等は継続して上昇していますが、ここのところ全体的に価格上昇が幾分鈍化しているようです。インフレ率はおおむね米金融当局の目標である2%近辺で推移しそうです。10月も総合、コアとも9月と同程度の数値を想定しています。

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