来週の金融市場見通し(2018年11月5日~2018年11月9日)

■来週の見通し

トランプ大統領が「習主席と非常に良い対話を持った」とツイートしたことや中国との貿易合意の草案作成を指示したとの報道を受け、米中貿易摩擦への警戒感が後退しています。来週の米国の中間選挙では、上院は共和党が維持するも、下院は民主党が奪還するとの見方が支配的です。この場合にはトランプ政権の政策が実現しにくくなるものの、通商政策での強硬姿勢が弱まる可能性も。ただ、予断を許しません。

◆株価 : 貿易摩擦楽観も米中間選挙にらみ

日経平均株価は週初、2万1,000円に近づいたものの、米中貿易摩擦への警戒感が和らいだことに加え、値ごろ感からの押し目買いも広がり、大きく値を戻す動きになりました。日経平均株価の予想PER(株価収益率)は12倍台とまだ割安水準で、割安感からの買いも期待できそうです。米中間選挙後は株高との見方があるものの、上院、下院で民主党が過半数を奪取すると、政治混乱への警戒感が広がる可能性があり注意が必要です。

◆長期金利 : レンジの幅はやや拡大

国内株が持ち直す中、日銀が11月の国債買入予定で「1年超5年以下」の1回当たりのオファー金額を増額、頻度を5回から4回に減らし、実質的に月間の買入額を減額したことを受け、長期金利は一時0.135%まで上昇。ただ、10年国債入札が順調だったことから、0.12%前後に低下する動きになりました。日銀はこう着した債券相場の変動性を高めようとしています。長期金利はレンジでの動きながら振れ幅はやや大きくなりそうです。

◆為替 : 上値は限定的か

内外の株価が大きく上昇したことから、逃避通貨とされる円は対ドルで売りが優勢になり、ドル円は一時113円台まで上昇。その後は株価をにらんで、一進一退の動きに。米中貿易摩擦への過度な警戒はやや和らいでいるものの、警戒感が払しょくされていないことに加え、米中間選挙の不透明感、通貨安誘導を封じる為替条項への警戒は重し。米中間選挙の結果や米長期金利の動きなどを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆Jリート : 底堅い動きの中、上値を探る

Jリートは、週央までは一進一退の動きも、後半は国内株の持ち直しや、長期金利がじりじりと低下したことを好感し、堅調な動きに。Jリートの予想分配金利回りは引き続き4%超と高い水準。内外の金融市場が不安定になる場面でも、Jリートが底堅く推移していることも安心材料です。とはいえ、急伸する場面では利益確定売りも強まることはやっかい。米中間選挙を無難に通過すると、買い安心感が広がる可能性も。

来週の注目点

機械受注(9月) 11月8日(木)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、8月に前月比6.8%増の9,815億円となりました。減少を見込んでいた市場予想を大きく上回り、企業の設備投資意欲の強さが示されました。貿易摩擦への警戒感による投資の手控えも現時点では限定的なものにとどまっています。9月の機械受注は反動減が見込まれるものの、四半期ベースで7-9月期は前期比プラスとなる可能性が高そうです。

米生産者物価指数(10月) 11月9日(金)午後10時30分発表

米国の生産者物価指数(PPI)は9月に前年比2.6%の上昇と若干予想を下回ったものの、堅調な結果となり、また、食品とエネルギーを除くコアPPIは同2.5%の上昇と前月から伸びが高まりました。

米国では景気拡大が継続しており、足元、運輸・倉庫が大きく伸びるとともに、航空旅客サービスや鉄道輸送も上昇しています。今後は米中貿易摩擦問題から追加関税が徐々に影響を及ぼすと思われます。10月のPPIは前年比2.7%程度、コアPPIで同2.5%程度の上昇が見込まれます。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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