来週の金融市場見通し(2018年10月1日~2018年10月5日)
■来週の見通し
日米首脳会談では、農産物や工業製品などの関税引き下げに向けた「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉開始で合意しました。米国が求める2国間交渉を認めた格好です。自動車関税については、協議中は発動を凍結することとなりました。年明けに本格交渉入りする見通し。来週は、日銀の企業短期経済観測調査(短観)や米金融当局者の講演などを確認しながら、リスクオン(選好)が継続するかが注目されます。
◆株価 : 弱含みの展開を予想
日本株は弱含みの展開が予想されます。円安などを背景に日経平均株価は3週間で1,700円以上も上昇し、高値警戒感が強まりつつあります。また、世界的な貿易摩擦や新興国からの資金流出に対する懸念もくすぶり続けています。さらに、イタリアの財政赤字や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱も市場の波乱要因となり得ます。これらを踏まえると、足元の楽観ムードは一旦調整を余儀なくされる可能性がありそうです。
◆長期金利 : 国債買入れオペにらみもレンジ継続
日銀が21日の国債買入れオペで、残存期間「25年超」の買入れ額を減額して以降、オペ減額への警戒が広がり、残存期間の長い債券を中心に、やや軟調な動きがみられました。ただ、40年国債入札が順調な結果となったことや、減額観測が出ていた「10年超25年以下」のオファー金額が据え置かれたことから、国内債市場は落ち着いた動きに。引き続き、国債買入れオペの金額などを確認しながら、居所を探る展開になりそうです。
◆為替 : 上値を探る展開か
26日に米連邦準備制度理事会(FRB)は予想通り今年3回目の利上げを行いました。12月の利上げも濃厚であり、底堅い米株価とあいまってドル円の堅調地合いは継続すると思われます。米中の貿易摩擦や新興国経済の混乱は今後の展開によってはリスク要因ですが、ドル円は7月の高値を越えたことから、来週は米国の雇用統計や賃金動向を確認しながら、上値を探る展開となりそうです。112.0-114.0のレンジを想定しています。
◆Jリート : 上昇余地を探る
国内株が堅調に推移し、投資家心理が改善したことや、長期金利が落ち着いた動きとなり、Jリートの相対的に高い利回りに着目した買いなどから、東証REIT指数は5営業日続伸しました。予想分配金利回りは依然として4.1%強と相対的に高い水準で、長期金利が若干上昇しても、利回り面での魅力は大きく損なわれないとみられます。利益確定売りに押される場面もありそうですが、底堅い動きの中、上昇余地を探ることになりそうです。
■来週の注目点
日銀短観(9月調査) 10月1日(月)午前8時50分発表
6月調査の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によれば、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス21と、高水準ながら2期連続で悪化しました。引き続き貿易摩擦への懸念などに圧迫される中、9月のDIは横ばい程度が見込まれます。また大企業非製造業については、猛暑による消費への影響が混在し、6月と同程度のDI(プラス24)が見込まれます。一方、設備投資計画に関しては、高めの伸びが予想されます。特に人手不足に伴う省力化設備への投資意欲は旺盛で、これらが今後も国内総生産(GDP)を支える見通しです。
米雇用統計(9月) 10月5日(金)午後9時30分発表
8月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は市場予想を上回る前月比20万1,000人増、失業率は前月同様3.9%でした。また、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比2.9%増となり、2009年の景気後退時以降で最大の伸びとなりました。米国は個人消費を中心に景気拡大が継続しており、雇用者数は建設業、サービス業中心に堅調な動きです。また、賃金の伸びが高まっており、インフレ見通しは上向いています。9月の非農業部門就業者数は前月比19万人程度の増加、失業率は3.8%、平均時給は前年比2.8%増程度を想定しています。
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