来週の金融市場見通し(2018年7月2日~2018年7月6日)
■来週の見通し
トランプ米政権は、中国の知的財産権侵害への制裁措置として追加関税を課すと発表した500億ドル分の中国製品のうち、340億ドル分の制裁関税を7月6日に発動するとしています。中国も同規模の報復措置を同日に発動すると表明しています。米中が歩み寄れるかは予断を許さず、神経質な展開が続きそうです。他方、日銀短観、米雇用統計など内外の主要な経済指標も確認したいところです。
◆株価 : 上値は重いが下値余地も限定的
日経平均株価は引き続き上値の重い展開が予想されます。トランプ米政権の保護主義策(関税引上げなど)については、直ちに世界経済へ大打撃を与える可能性は低いものの、早期の決着も見込みにくい情勢です。そのため投資家は、慎重な姿勢を当面維持しそうです。ただ、日本に比べ米国の景気は堅調とみられる中、ドル高・円安圧力がやや優勢となっています。それらを踏まえれば、日本株の下値余地も限定的と考えられます。
◆長期金利 : 低位横ばい
長期金利は、日銀の強力な金融緩和の下、動意の乏しい展開となり、前週末から0.03%の横ばいが継続しています。米中貿易摩擦への警戒は買い材料も、長期金利を押し下げるまでには至らず。日銀は29日の国債買入れオペで、残存期間5年超10年以下のオファー金額を4,100億円と前回から200億円減額したものの、市場の反応は限定的でした。米中貿易摩擦や日銀の国債買入れオペをにらみながらも、低位での推移が継続しそうです。
◆為替 : レンジ内で方向感模索か
ドル円は、米国景気の堅調な推移や米連邦準備制度理事会(FRB)による段階的な利上げ観測を背景に長期金利が高止まりしていることから、基本的にはドルの底堅い展開を想定しています。しかし米中貿易戦争は関税報復合戦となっており、世界景気への悪影響が懸念されることから、リスク回避の円買いが出やすい状況です。来週も両者の綱引き状態が続き108-112円程度のレンジ内で、方向感を模索する展開が続きそうです。
◆Jリート : 底堅い動き
東証REIT指数は、米中貿易摩擦の影響を受けにくいとして、海外投資家とみられる買いが入り、26日には1,780ポイントと約1年3か月ぶりの高値を付けました。その後は利益確定売りに押されましたが、週末はしっかりで前週比では上昇しました。長期金利が低位で推移していることは安心材料。Jリートの予想分配利回りも4%を若干上回る水準。来週は、米中貿易摩擦の動向に振らされながらも、底堅い動きが継続しそうです。
■来週の注目点
日銀短観(6月調査) 7月2日(月)午前8時50分発表
3月調査の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス24となりました。6月調査では、小幅な悪化が見込まれます。人手不足や原油高によるコスト増が景況感を圧迫した模様です。さらに、米中貿易摩擦への懸念も徐々に広がっています。
一方、人手不足の中、自動化や情報化に向けた企業の投資意欲は旺盛です。そのため2018年度の設備投資計画は、3月調査に比べ上方修正が見込まれます。ただ、貿易摩擦をめぐる不透明感を受け、投資を先送りする動きもあり得ます。よって、上方修正幅は限られたものにとどまりそうです。
米雇用統計(6月) 7月6日(金)午後9時30分発表
5月の米雇用統計は市場予想を上回り、非農業部門就業者数は前月比22万3,000人増、失業率は2000年4月以来の3.8%となりました。また、今後のインフレ動向を占う上で注目の平均時給も前年比2.7%増と伸びが加速しました。
米国は個人消費を中心に、景気拡大が継続しています。労働市場におけるスラック(たるみ)はいまだ解消されていないと考えられるものの、力強い労働市場が引き続き経済成長の原動力になると思われます。6月の非農業部門就業者数は20万人程度の増加、失業率は3.8%、平均時給は、前年比2.7%程度の伸びを予想しています。
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