来週の金融市場見通し(2018年5月14日~2018年5月18日)

■来週の見通し

トランプ大統領は、イラン核合意から離脱し、経済制裁を再開すると発表する一方、米朝首脳会談を6月12日にシンガポールで開催するとツイッターで明らかにしました。トランプ氏は、北朝鮮との非核化交渉に自信を示しており、中東とは逆に北朝鮮をめぐる警戒は後退しています。中東情勢に加え、峠を越えつつある国内企業の決算発表や内外の経済指標を確認しながら方向感を探っていくことになりそうです。

◆株価 : 底堅いが、一方的な上昇は期待しにくい

日本株は、米国の株高、円安傾向、国内企業の好業績などを背景に、底堅い動きとなっています。こうした中、当面は上値を追う場面も想定されます。ただ、中東情勢の緊張、それに伴う原油高、米国の金利上昇など、多くのリスク材料が残っています。また、16日に発表される国内総生産(GDP)は、精彩を欠く結果が見込まれます。これらを踏まえると、日経平均株価が2万3千円を大幅に上回るような展開は期待しにくいとみられます。

◆長期金利 : 一進一退

長期金利は5月に入り、0.035~0.05%での一進一退の動きが続いています。米金利の上昇が国内の長期金利にも波及しましたが、上昇は0.05%までと小幅でした。黒田日銀総裁は10日の講演で、「消費者物価の前年比は、2%に向けて上昇率を高めていくとみているものの、どちらかといえば下振れリスクの方が大きい」と発言しています。米金利はインフレを警戒し神経質な動きになっていますが、国内金利への影響は限定的とみられます。

◆為替 : ドル高地合いも上値は重そう

ドル円は、米長期金利の底堅い動きを背景に、じりじりと上昇していますが、週末に発表された米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことから、上値は110円を目途にひと段落しそうです。また、市場は中東の地政学リスクに注目しており、リスク回避の円買いとなる可能性があります。足下、ドル円は米長期金利の動きとの相関性が高まっていることから、原油価格や小売売上高、鉱工業生産など米景気指標にも注目が集まりそうです。

◆Jリート : 上昇余地を探る

Jリート市場は、不動産市況の改善や分配利回りの高さに着目した買いなどから、堅調な動きになりました。週央は売りに押されたものの、週後半は持ち直して、東証REIT指数は一時1,750ポイントを上回りました。4月の東京都心のオフィス空室率は4か月連続で低下、平均賃料は52か月連続で上昇し、オフィス市況の好調が続いています。予想分配利回りは依然として4.0%強と高い水準。上昇余地を探る展開が続きそうです。

来週の注目点

GDP統計(18/1-3月期、1次速報)  5月16日(水)午前8時50分発表

日本の実質国内総生産(GDP)成長率は、昨年10-12月期まで8期連続でプラスとなった後、今年1-3月期は前期比0%前後への顕著な減速が見込まれます。

現在、家計調査による実質消費支出が3月まで2か月続けて前年比マイナスとなるなど、個人消費の弱さが目立ちます。所得が伸び悩む中、引き続き消費の力強い回復は想定しにくいでしょう。ただ、海外経済の拡大を受け、輸出や設備投資は底堅い動きが予想されます。よって、景気が一方的に悪化する可能性は低いとみられます。

米小売売上高(4月) 5月15日(火)午後9時30分発表

米国の小売売上高は3月に前月比0.6%増と市場予想を上回り、昨年12月以来4か月ぶりのプラスとなりました。4月は同0.3%程度の増加が見込まれます。

米国では個人消費主導で景気拡大が続いていますが、ここのところ個人消費にやや減速感がみられていました。しかし今般、トランプ政権による減税政策が実施され、消費者の購買意欲が復活していると思われることから、4月もプラス圏での推移を想定しています。一方、賃金の伸びが鈍いことや原油価格の上昇を受け、消費増加の長期的持続性については、必ずしも楽観できないと考えています。

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