来週の金融市場見通し(2016年11月7日~2016年11月11日)
■来週の見通し
大方の予想どおり、日銀、米連邦準備制度理事会(FRB)ともに金融政策の現状維持を決めました。日銀については、物価見通しを引き下げるとともに、物価目標の達成時期を先延ばししました。FRBは声明文でインフレ見通しをやや強めましが、次回会合での利上げ判断への示唆はありませんでした。来週の米大統領選を前に、市場に配慮したとみられます。クリントン氏とトランプ氏の平均支持率(リアル・クリア・ポリティックス調査)は、10月中旬にはクリントン氏が7ポイント程度リードしていたものの、11月3日には1.3ポイントのリードまで縮まってきており、予断を許さない状況です。
◆株価 : 米大統領選にらみ
円安を背景に過度な業績下振れへの警戒が後退し、日経平均株価は1万7,500円に迫ったものの、米大統領選をめぐる不透明感が強まり、4日には1万7,000円を割り込みました。恐怖指数とも呼ばれるVIX指数は英国の欧州連合(EU)離脱選択で、金融市場が混乱した6月以来の水準に上昇しています。クリントン氏勝利なら買い安心感が広がりそうですが、トランプ氏なら金融市場が不安定になる可能性が高いとみられます。結果を確認するまでは、積極的に動きにくい状況です。
◆長期金利 : レンジ継続
長期金利は、週前半にはマイナス0.055%~マイナス0.05%でほとんど動かず。ただ、週央以降は米大統領選をめぐる不透明感から、安全資産とされる国債を買う動きがやや強まりました。加えて、日銀が11月初回の国債買入れ額を維持すると発表し、新しい金融政策の枠組みの下で買入れを減らすとの警戒が後退したことも、買い安心感につながりました。もっとも、長期金利の低下はマイナス0.065%までと小幅。米大統領選にらみですが、狭いレンジでの動きが継続しそうです。
◆為替 : 波乱含み
日銀が11月初回の国債買入れ額を維持したことや年内の米利上げ観測は、円売り・ドル買い材料。ただ、米大統領選で、クリントン氏のメール問題をめぐる再調査などを受けて、トランプ氏が追い上げていることを警戒し、逃避通貨とされる円を買う動きが強まり、ドル円は一時102円半ばまで下落しました。米大統領選でトランプ氏勝利なら金融市場が混乱し、円買いがさらに強まるとともに、米利上げ観測が後退しドル売りが加速する可能性があります。波乱含みの展開になりそうです。
■来週の注目点
米大統領選挙投票 投票8日(火)、開票は日本時間9日(水)午前8時から
米国の大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン氏が優勢とみられます。同氏は特に内政面でオバマ大統領の基本路線を継承すると見込まれることから、クリントン勝利の場合、金融市場では一旦、安心感が広がりそうです。
しかし10月末、クリントン氏の私用メール問題(国務長官在任時に私用メールサーバーを用いて国家の機密情報を扱っていたとの問題)が再燃しました。これを受け足元、各種世論調査の支持率で共和党のドナルド・トランプ氏が追い上げています。
トランプ氏は極端な反移民、反自由貿易などを主張していることから、その政策が進められれば、米国の経済や外交などが大きく変化する可能性があります。よって、トランプ勝利の場合、金融市場では一時的な混乱が予想されます。
ただし、いずれが勝利したとしても、政策推進には議会との協調が必要です。そのため、大統領選挙と同時に行われる連邦議会選挙の結果も極めて重要です。
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