来週の金融市場見通し(2025年9月15日~2025年9月19日)
■来週の見通し
前週末発表の8月の米雇用統計で労働市場が減速していることが示されたことに加え、8月の米生産者物価指数(PPI)が前月比で0.1%の下落となったことや、米新規失業保険申請件数が約4年ぶりの悪い数字となったことを受けて、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が強まりました。FOMCは0.25%の利下げが決定されるとみられますが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が今後の利下げペースについて示唆するかが注目されます。日銀金融政策決定会合は現状維持の見込みです。
◆株価 :日米の金融政策会合受け、調整も
今週の日本株は、大きく上昇しました。週初は、石破首相が辞任を表明したことを受けて、積極的な財政政策を掲げる候補者が新しい自民党総裁、首相に就任するとの期待から買いが優勢となりました。また、11日には、米オラクルの決算で人工知能(AI)需要の拡大がみられたことで、AI普及の恩恵を受けることが期待されるソフトバンクグループなどの株価急上昇が牽引し、日経平均は節目となる4万4千円を超える展開となりました。
来週は、日米の金融政策会合が注目されます。今週の株価上昇を受けて、株価の割高感が強まっています。そのため、日銀の植田総裁が会合後の記者会見で、早期の利上げに前向きな発言した場合や、パウエルFRB議長が、今後の利下げに慎重な姿勢を示すと、株価は調整する恐れがあり、警戒が必要です。
◆長期金利 :日米の金融政策にらみ
今週の長期金利は、米労働市場の軟化を受けてFRBの利下げ観測が高まり、米金利とともに低下する場面があったものの、国内政治の先行きに不透明感があるなかでも日銀が利上げを続けるとの見方が根強く、上昇する動きになりました。株高を受けて、安全資産とされる国内債に売りが出たことも、長期金利を押し上げました。
来週は、日銀会合では政策金利の据え置きが見込まれますが、植田日銀総裁が会合後の記者会見で、今後の利上げについて慎重な姿勢を示した場合には、長期金利の上昇が抑制される可能性があります。他方、FOMCでは利下げが決定されると見込まれます。市場は9月を含めて年3回の利下げを織り込んできていますが、パウエルFRB議長が追加利下げに慎重な姿勢を示すと、米金利とともに国内金利も押し上げられることも想定されます。
◆Jリート :底堅い展開か
今週のJリート市場は、金融機関の半期決算を控えた売りなどが一部で見られたものの、東証REIT指数(配当なし)1,900ポイントを下回る水準では下値を拾う買いが見られたことなどから上昇しました。今週末の分配金利回りは4.580%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、長期金利や日米金融政策の動向、自民党総裁選に関する報道を確認しつつ、底堅い展開を想定しています。引き続き金融機関の半期決算を控えた売りが見込まれるほか、自民党総裁選に絡む財政拡張懸念から長期金利が上昇するとJリート市場の下押し圧力となりそうです。とはいえ、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いが見込まれることから、下値は限定的になると見込んでいます。
◆為替:米利下げ期待のはく落によりドル高か
今週のドル円相場は小幅な値動きになりました。週前半は、石破首相の退陣表明を受けて一時円売り圧力が強まる場面もありましたが、労働市場の冷え込みを示す8月の米雇用統計に加え、日銀の年内利上げを排除しないとの関係者発言を受け、1ドル=146円台前半までドル安・円高が進みました。週後半は、日銀の利上げに消極的とみられる高市氏の自民党総裁選への出馬意向を受けて、円売りの動きが広がり、1ドル=147円台まで戻しました。
来週はドル高・円安の進行が予想されます。来週のFOMCでは0.25ポイントの利下げが見込まれていますが、参加者の政策金利見通し次第では、その後の市場の利下げ期待がはく落する可能性があります。ただし、日銀の会合後の記者会見で、植田総裁が年内の利上げに含みを持たせた場合、円高が進行する可能性があります。
◆米国株 :FOMCに注目
今週の米国株は、上昇しました。米景気の減速を示唆する経済指標が相次いだ一方、PPIが前月比0.1%の下落となったことを受けて、米利下げ期待が強まり、株価を押し上げました。半導体株は、オラクルの決算でAI需要の拡大がみられたことで、AIの普及が業績の追い風になると予想されるブロードコムなどの銘柄が買われ、上昇しました。
来週はFOMCが注目されます。FOMCでは一部の参加者から0.5%の大幅な利下げが提案される可能性もありますが、0.25%の利下げが決まる見通しです。注目点は、参加者が示す今後の政策金利見通しとパウエルFRB議長の記者会見です。今後の利下げに慎重な姿勢が示されると、市場の利下げ期待が後退し、株価が調整する恐れがあり注意が必要です。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(8月) 9月19日(金)発表
7月の全国・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.1%上昇と前月(同3.3%上昇)から伸びが縮小しました。原油価格の下落などを背景に、エネルギー価格が2024年3月以来となる前年比低下に転じ、物価全体を押し下げたものの、コメ価格の高騰が加工食品の価格にも波及するなかで、食料品価格の高い伸びが続きました。
8月の全国・コアCPIは伸びがさらに縮小すると予想されます。政府による電気・ガス代の補助金の再開がエネルギー価格を押し下げるほか、コメ価格の騰勢はピークアウトする見込みです。
米小売売上高(8月)9月16日(火)発表
7月の米国の小売売上高は前月比0.5%増と、2か月連続での増加となりました。関税による値上げを見越した駆け込み需要に加えて、オンラインでの販売促進キャンペーンが個人消費を押し上げたとみられます。
8月の小売売上高は、前月比0.2%程度の増加が見込まれます。労働市場の減速が個人消費の重しとなるものの、株高による資産効果などを受けて、高所得者層を中心に個人消費は底堅く推移したとみられます。
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