来週の金融市場見通し(2025年3月17日~2025年3月21日)
■来週の見通し
トランプ政権は12日、鉄鋼・アルミニウム関連の輸入品に課す25%の追加関税を発動しました。同日、欧州連合(EU)とカナダが、米国に対する報復関税を発表するなど、報復の動きが広がっています。来週の日銀金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)では、それぞれ利上げ、利下げは見送られるとみられますが、植田総裁、パウエル議長の発言やFOMC参加者の政策金利見通しが注目されます。引き続きトランプ政権の動向や内外の経済指標、国内では2025年春闘なども確認したいところです。
◆株価 :不安定な動きが継続か
今週の株価は、トランプ大統領の関税政策をめぐる発言を受けて、不安定な動きとなりました。来週も、日米の金融政策の会合を受けて、不安定な動きが継続する可能性があります。両会合ともに、現状維持となる公算ですが、会合後の総裁や議長の記者会見の発言を受けて、株価は乱高下する恐れがあります。政治資金問題を受けて石破首相の退陣の可能性が取り沙汰されており、国内政治の動きも株価を動かす可能性があります。
◆長期金利 :居所を探る
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利下げに慎重な姿勢を示したことや、日銀の利上げ観測が根強い中、5年国債入札が弱い結果となったことから、長期金利は一時1.575%と2008年10月以来の水準まで上昇しました。その後は不安定ながらも前週末の水準に戻る動きになりました。日銀会合は現状維持の見込みですが、植田総裁が長期金利の上昇をけん制するかが注目されます。高い賃上げが続くかも確認したいところです。
◆為替:方向感見定めにくい
ドル円は、方向感を見定めにくい展開となりそうです。足元、米長期金利は、やや方向感を失っているものの、米インフレ圧力の低下がみられる中、米景気の減速感が高まっており、基調的には低下傾向にあります。また、日銀の早期追加利上げ観測も根強いことから、ドル円の上値は重そうです。とはいえ、トランプ大統領の関税政策などに関する発言に市場は大きく振らされており、当面は変動性の高い中、方向感を見定めにくい状況が続きそうです。
◆Jリート :戻りを探る
Jリート市場は、日米長期金利の動向を睨みながら、上値を探る展開となることが想定されます。国内長期金利が約16年ぶりに1.5%を超える水準で推移しているほか、米国の関税政策による景気減速懸念が下押し圧力となっています。一方、不動産市場を取り巻く環境は引き続き良好で、米長期金利が低下していることは支援材料です。割安感に着目した買いなどによる下支えが入ることで、底堅く推移することが期待されます。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(2月) 3月21日(金)発表
1月の全国・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.2%上昇と前月(同3.0%上昇)から伸びが拡大し、2023年6月以来の高い伸びとなりました。政府によるガソリン補助の縮小を受けてエネルギー価格の上昇が加速したほか、コメ価格の高騰などを背景に食料品の値上げが続きました。
2月のコアCPIは前年比3%前後の伸びが続くと見込まれます。電気・ガス代補助の再開がエネルギー価格を押し下げるものの、コメを中心とする食料品価格の上昇が続く見込みです。政府の備蓄米放出を受けてコメ価格が低下するのは3月以降とみられます。
米小売売上高(2月) 3月17日(月)発表
1月の米国の小売売上高は前月比0.9%の減少と、市場予想を大きく下回る内容となりました。自動車を中心に幅広い分野の財消費が減少しました。
2月は前月比0.7%程度の増加に転じるとみられます。関税引き上げへの懸念などから消費者マインドが悪化するなかで、個人消費の底堅さが示されるのかに注目が集まります。
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