来週の金融市場見通し(2024年6月3日~2024年6月7日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)が公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、経済活動は拡大を続けたと総括、また短期的な物価見通しは緩やかなペースでの上昇が続くとしました。ドイツの5月の消費者物価指数(CPI)も前月を上回るなど、欧米では根強いインフレを背景にした金利上昇が投資家心理の重しになる可能性があります。国内でも金利上昇が警戒されます。来週は31日発表の米個人消費支出(PCE)価格指数を受けた米国市場の動向に加え、週末の米雇用統計などに注目が集まりそうです。

◆株価 : 底堅い動きか

来週は、為替が円安水準で推移していることや国内企業の株主還元の動きが拡大していることを背景に底堅い動きが予想されます。ただ、毎月勤労統計で賃金の伸びが加速すると、日銀の金融政策正常化観測が高まり、株価を下押しする可能性があり警戒が必要です。また、雇用に関する米経済指標の発表を受けて、値動きが激しくなる場面も想定されます。とはいえ、下落局面では個人投資家の買いが入ることも想定され、下値は限定的となりそうです。

◆長期金利 :居所を探る

FRBの利下げ開始が遅れるとの観測から米金利が上昇したことに加え、日銀が追加利上げや国債買入れの減額など金融政策の正常化を進めるとの思わくから、長期金利は一時1.1%と約13年ぶりの水準まで上昇しました。ただ、2年国債入札が無難な結果となったことで安心感が広がり上げ幅を縮小しました。しばらくは、日米の金融政策をめぐる思わくに振らされる展開が続きそうです。10年、30年国債入札も確認したいところです。

◆為替:底堅い

ドル円は、底堅い地合いが続きそうです。FRB高官から、追加利上げの可能性を完全に排除したわけではない、等のタカ派発言がみられる中、早期利下げ観測は後退しています。日米の金利差は引き続き強いドル買い要因になるとみられ、ドル円は今後も底堅い推移が見込まれます。日銀の介入警戒感がやや薄らいでいることもドル円の支えとなりそうです。とはいえ、米個人消費支出統計や来週の米雇用統計の結果次第では波乱の可能性があり注目です。

◆Jリート :上値は重そう

Jリート市場は、上値の重い状況が続きそうです。早ければ6月の金融政策決定会合での追加利上げや、国債買い入れオペの減額が決定されるのではないかとの警戒感から、国内長期金利に上昇圧力がかかっています。割安感が強まってきており、分配金利回りに着目した一定の買いは期待されるものの、さらなる国内外の金利上昇の影響を受け、下値を切り下げる展開も予想されます。

来週の注目点

毎月勤労統計(4月、速報値)  6月5日(水)8時30分発表

毎月勤労統計調査によると、3月の実質賃金は前年比2.1%減となりました。昨年から賃上げの動きは拡大していますが、物価の伸びを下回る状況が続いており、実質賃金は前年比で24か月連続マイナスとなっています。

4月の実質賃金も、前年比でマイナスとなる状況が続きそうです。ただ、春闘で昨年を上回る賃上げが実現したことで、賃金の伸びの加速が期待されるため、実質賃金のマイナス幅は前月から縮小することが見込まれます。

米雇用統計(5月) 6月7日(金) 21時30分発表

4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比17万5,000人増となり、市場予想を下回りました。平均時給は前月比0.2%増(前年比3.9%増)と、前月より減速し、前年比では2021年6月以来の小幅な伸びにとどまりました。失業率も3.9%と予想外に前月から上昇しました。

今後も米労働市場は堅調な推移になるとみられるものの、徐々にこれまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げによる影響が広がりそうです。5月の非農業部門雇用者数は前月比18万5,000人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.9%程度を想定しています。

 

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