来週の金融市場見通し(2024年1月29日~2024年2月2日)
■来週の見通し
日銀金融政策決定会合は現状維持も、植田総裁が2%の物価目標の実現に向けた確度が少しずつ高まっていると述べたことから、マイナス金利解除などへの思わくが広がりました。米国では昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)が予想以上に伸びた一方、インフレ指標が鈍化したことから、経済の軟着陸(ソフトランディング)期待が広がりました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持の見込みですが、利下げ開始について示唆があるかが注目されます。米雇用統計なども確認したいところです。
◆株価 :不安定な動きか
日本株は、不安定な動きが予想されます。来週はFOMCに加え、アップルやマイクロソフトなど米主要企業の決算が予定されており、米国市場は荒い値動きとなることが想定され、日本株も不安定な動きとなりそうです。また、今週の日銀金融政策会合後の会見で植田総裁が「2%の物価目標達成が見通せれば、金融政策の修正を検討」と発言しましたが、31日に発表される「主な意見」で参加者が政策修正にどのように言及したか注目されます。
◆長期金利 :居所を探る
日銀は大規模な金融緩和の維持を決定しましたが、物価目標達成の見通しの確度は引き続き、少しずつ高まっているとの見方を示したことなどから、マイナス金利解除などが意識され、長期金利は大きく上昇する動きになりました。40年国債入札が低調な結果になったことも手伝い、一時0.75%と約1か月半ぶりの水準を付けました。来週はFOMCに加え、10年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 :方向感模索
ドル円は、上値余地、下値余地ともに限定的とみられ、方向感の見定めにくい展開が想定されます。昨年10-12月期の米GDPが予想を上回る伸びとなるなど、米景気は底堅い推移を見せており、早期の米利下げ期待は後退しています。他方、米インフレは低下基調にあり、米長期金利の上昇余地は限定的とみられることに加え、日銀の金融政策変更観測は根強く、ドル円の上値も重そうです。ドル円は、レンジ内で方向感を模索する展開が続きそうです。
◆Jリート :底堅い動きが継続
東証REIT指数は、週初は株高を受けて投資家心理が上向き、約2か月ぶりの水準まで上昇したものの、その後は利益確定売りや、長期金利の上昇を嫌気した売りなどに押される動きになりました。市場は、日銀によるマイナス金利解除などの金融政策の正常化について、ある程度織り込みつつあり、金利の上昇も一服してきています。東京都心のオフィス賃料が底打ちする中、資産価格と比べた割安感などから底堅い推移が見込まれます。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(12月、速報値) 1月31日(水)8時50分発表
鉱工業生産指数は11月に前月比0.9%減少し、104(2020年=100)となりました。業種別では、生産用機械工業などが上昇する一方、石油・石炭製品工業や自動車を除く輸送機械工業などが低下しました。
12月の鉱工業生産指数は、前月比で上昇が見込まれます。生産用機械工業の生産などが増加しそうです。今後については、海外景気の下振れ懸念が続いていることから、当面は緩慢な回復傾向になりそうです。
米雇用統計(1月) 2月2日(金) 22時30分発表
12月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比21万6,000人増となり、平均時給は前月比0.4%増と前月並みとなりました。また、失業率も3.7%と前月並みとなるなど、米労働市場は引き続き堅調であることが示唆されました。
これまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げなどの影響を受け、米労働市場の過熱感は後退しているものの、当面、底堅い状況が続きそうです。1月の非農業部門雇用者数は前月比18万5,000人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.7%程度を想定しています。
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