来週の金融市場見通し(2023年1月16日~2023年1月20日)
■来週の見通し
2022年12月の米消費者物価指数(CPI)の前年同月比が6か月連続で鈍化し、エネルギーと食品を除いたコアCPIも3か月連続で鈍化したことを受け、米利上げペースがさらに鈍化するとの観測が広がっています。他方、日銀については、来週の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策に伴う副作用を点検するとの一部報道を受け、金融緩和政策の一段の修正への思わくが浮上しています。来週は日銀金融政策決定会合に加え、米生産者物価指数(PPI)や本格化する米企業決算なども確認したいところです。
◆株価 :底堅い展開か
日本株は、底堅い展開が予想されます。米国のインフレ鈍化が確認されており、米金融政策をめぐる警戒感の後退が内外株価を支える見通しです。また欧米の株価が年初から上昇していることも、日本株を支援する見込みです。とはいえ、日銀のさらなる政策修正観測などを背景に円高が進んでいることが、輸出関連株などを圧迫しそうです。そうした中、米中などで多数発表される経済指標や、日銀の金融政策決定会合などが注目されます。
◆長期金利 :日銀にらみ
金融緩和修正への警戒から、長期金利は0.50%を上回りました。昨年12月に長期金利の許容変動幅が±0.5%に拡大された後も、市場金利の歪んだ状況が続いています。日銀は当面、12月の措置の影響を確認していくとみられていましたが、許容変動幅の一段の拡大や、長期金利をゼロ%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(YCC)撤廃などへの思わくもくすぶります。日銀の政策を確認するまでは不安定な動きが続きそうです。
◆為替 :下落基調
12月の米CPIにおいて、米インフレの鈍化傾向が確認されたことから、米利上げ期待は後退し、米長期金利は低下しています。それを受け、ドル円は一時128円台に下落するなど、ドル安円高が進行しています。また、1月の日銀の政策決定会合において、さらなる政策修正が行われるとの観測が高まっており、円を押し上げています。当面、ドル円は、米インフレ鈍化と日銀の政策修正観測を背景に、下落基調で推移する可能性が高そうです。
◆Jリート :日銀の政策修正を警戒
東証REIT指数は、1,850ポイントを挟んだ一進一退の動きが続いています。米CPIの伸び鈍化を受けて、米長期金利が低下したことは押上げ材料も、日銀の金融緩和修正への警戒から、国内の長期金利に上昇圧力がかかっていることは重しです。他方、予想分配金利回りは4%を超えてきており、利回り面の妙味や、資産価格に比べた割安感からの買いは下支え材料です。とはいえ、日銀会合を確認するまでは動きにくい状況が続きそうです。
■来週の注目点
日銀金融政策決定会合 1月18日(水)に結果発表
今回の会合では、金融政策の現状維持が予想されます。昨年12月の会合で日銀は、市場予想に反し政策調整(長期金利の許容変動幅拡大)を決めましたが、当面、その効果を確認すべく政策を据え置く可能性がやや高そうです。
ただ、日本の債券市場は日銀による国債大量買入れにより歪められているほか、円安などのため国内のインフレが高進しており、20日に発表される12月の消費者物価指数も高いインフレ率を示す見込みです。そうした中、今回の会合でさらなる政策調整(長期金利の変動許容幅の再拡大など)が行われる可能性もあり、注意が必要です。
米生産者物価指数(12月) 1月18日(水)午後10時30分発表
11月の米生産者物価指数(PPI)は、総合で前年比7.4%の上昇となり、市場予想を上回りました。また、変動の大きい食料、エネルギーを除くコアPPIも同6.2%と、市場予想を上回る伸びとなりました。とはいえ、両指数とも伸びの鈍化傾向が継続しました。
国内外での需要減速を背景に米国のサプライチェーンへの圧力は緩和している模様です。また、サービスの価格は上昇しているものの、食品などを除き、財の価格は落ち着きつつあります。12月は総合で前年比6.8%程度、コアで同5.4%程度の上昇を想定しています。
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