来週の金融市場見通し(2022年5月30日~2022年6月3日)

2022/05/27

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC、5月開催)議事要旨では、6月と7月の会合でそれぞれ0.5%の利上げを行うことが適切となる可能性が高いとの見解が示されました。想定内の内容で、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引締めへの警戒がやや和らいでいます。来週はFRB高官の発言に加え、米雇用統計など内外の経済指標を確認しながら方向感を探ることになりそうです。また、1日から開始されるFRBによる量的引締め(QT、米国債などの保有資産の圧縮)の影響も注視していく必要があります。

◆株価 :緩やかな上昇か

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。米企業業績への懸念がやや和らぐ中、米国株が徐々に安定へ向かう兆しも示されていることが、内外の株価を支援する見通しです。また、外国人観光客の受入れ再開方針などを受けた経済の正常化期待も、日本株の好材料となりそうです。ただ、米国などのインフレや金融引締めによる世界経済への影響が警戒される中、内外で多くの経済指標が発表されるため、それらの結果を注視する必要があります。

◆長期金利 :レンジ継続

市場予想を下回る米経済指標が相次ぎ、米景気の減速懸念が広がる中、米長期金利の低下を受け、国内の長期金利も一時0.205%と約1か月半ぶりの水準まで低下しました。ただ、低下し過ぎとの見方や、今年度からの40年国債増発が意識されたことなどから、押し戻される動きになりました。長期金利は米金利の動きをにらみながらも、0.20%~0.25%のレンジでの動きが続きそうです。10年国債入札も確認したいところです。

◆為替 :上値重い中、下値模索の可能性

5月のFOMC議事要旨は市場の想定内の内容で、米国の積極的な引締め観測は高まりませんでした。また、足元、弱めの経済指標が散見されており、米国景気の減速懸念が広がっていることから、米長期金利の上昇圧力も弱まっています。それを受け、ドル円は上値の重い展開が続きそうです。来週は、ISM製造業指数、雇用統計など重要経済指標に注目が集まっており、その結果次第では、ドル円は下値を模索する可能性も高そうです。

◆Jリート :上値を探る

東証REIT指数は、米長期金利の上昇一服を受けて、Jリートの利回り面での妙味が意識され、2,000ポイントに迫りました。米国では過度な利上げへの警戒が後退し、米長期金利が落ち着いた動きになっていることは安心材料です。また、岸田首相が外国人観光客の新規入国を6月10日から再開すると表明したことなどを受けた、経済活動の正常化への期待も下支え材料です。利益確定売りに押されながら、上値を探る展開が続きそうです。

来週の注目点

鉱工業生産指数(4月、速報値) 5月31日(火)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は3月に前月比0.3%上昇し、96.5(2015年=100)となりました。業種別では、半導体製造装置など生産用機械工業、化学工業などが上昇した一方、自動車工業などが低下しました。

4月の鉱工業生産指数も、前月比で小幅な上昇が見込まれます。3月下旬に「まん延防止等重点措置」が解除されたことなどが、生産を押し上げたとみられます。一方、中国における新型コロナウイルスの感染拡大や、ウクライナ紛争などによる世界景気の先行き不透明感が、生産を抑制した模様です。そうした不透明感は依然として強く、今後も当面、鉱工業生産は緩慢な伸びにとどまりそうです。

米雇用統計(5月) 6月3日(金)午後9時30分発表

4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比42万8,000人増となり、市場予想を上回りました。また、失業率は前月同様3.6%と、ほぼ市場予想通りとなりました。引き続き米国の労働市場の回復が堅調なペースで続いていることが示唆されました。

雇用者数は娯楽・ホスピタリティ、製造業、運輸などを中心に幅広い分野で伸びており、労働需給のひっ迫する中、今後も米労働市場の改善は継続すると見込まれます。5月の非農業部門雇用者数は前月比33万人増程度、失業率は3.5%程度を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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しんきん投信「来週の金融市場見通し」   しんきんアセットマネジメント投信株式会社
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