来週の金融市場見通し(2021年9月27日~2021年10月1日)
■来週の見通し
中国不動産大手の中国恒大集団が社債の利払いを実施すると発表したことを受け、金融市場はやや落ち着きを取り戻しています。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)では、年内のテーパリング(量的緩和の縮小)開始、来年中の利上げが示唆されました。来週は、29日に自民党総裁選の投開票が行われます。また、政府は東京などに発令されている緊急事態宣言を解除するかどうかを判断すると伝えられています。中国恒大集団やコロナの動向、また国内政局なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :緩やかな上昇か
日本株は、緩やかな上昇が予想されます。中国恒大集団の債務不安が一旦後退していることや、米国での年内のテーパリング開始が市場にほぼ織り込まれたとみられることが、株価を押し上げる見通しです。また、自民党総裁選は混戦模様ですが、29日の投開票でいずれの候補者が勝利しても、新政権の経済政策への期待が株価を支える見込みです。ただ、中国恒大をめぐる不安は払しょくできず、これが株価の上値を抑える場面もありそうです。
◆長期金利 :一段の上昇は限定的
中国恒大集団の経営不安を受け、安全資産とされる国債を買う動きが広がり、長期金利は一旦低下したものの、米金融政策の正常化が意識されたことや、中国恒大集団の経営への警戒が後退したことから、上昇する動きになりました。FOMCでは来年中の利上げが示唆されたことから、米金利とともに、国内の長期金利にも上昇圧力がかかりそうです。もっとも、日銀の大規模な金融緩和が継続する中、金利の上昇は限定的とみられます。
◆為替 :ドル高地合いも上値は限定的
ドル円はやや強含みの展開となりそうです。パウエルFRB議長が11月のFOMCにおけるテーパリング開始決定の可能性を明言したことを受け、米長期金利が上昇したことから、ドル円も110円台に上昇しました。とはいえ、世界的に新型コロナの感染拡大が続いており、世界景気への悪影響や中国恒大集団の債務不履行リスクに関する懸念は残ることから、逃避通貨とされる円買いも想定され、ドル円の上値余地も限定的とみられます。
◆Jリート : 戻りを探る
中国恒大集団の経営不安を背景に投資家のリスク回避姿勢が強まり、Jリート市場は売りが先行しました。ただ、週末は中国恒大集団への懸念が後退したことから、やや持ち直す動きになりました。FOMCを受け、国内の長期金利に押上げ圧力がかかりそうですが、上昇は限定的とみられます。Jリートの予想分配金利回りは3.4%台前半と引き続き相対的に高い水準です。緊急事態宣言が解除されると、安心感が広がりそうです。
■来週の注目点
日銀短観(9月調査) 10月1日(金)午前8時50分発表
6月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス14、同・非製造業がプラス1となりました。3月調査に比べ、それぞれ9ポイント改善、2ポイント改善と、特に製造業の改善が顕著でした。
9月調査では、大企業の業況判断DIは、製造業・非製造業とも、前回比で横ばい程度が予想されます。製造業は、部品不足による自動車の減産など、非製造業は、新型コロナウイルスの感染継続によるサービス業への影響が、景況感を圧迫したとみられます。とはいえ、輸出は依然堅調であるほか、感染者は足元減少しているため、製造業・非製造業とも、明確な景況感悪化は避けられそうです。
米個人消費支出(8月) 10月1日(金) 21時30分発表
7月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.3%増と市場予想をやや下回りました。一方、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比4.2%上昇と高い水準を維持しました。PCEについては、サービスへの支出は増加したものの、財への支出は減少した模様です。
米国では新型コロナの感染拡大が続いているものの、引き続きサービス支出を中心に個人消費の拡大が見込まれ、8月のPCEは前月比0.7%増程度が想定されます。また、PCE総合価格指数は、前年比で7月と同程度の高水準の伸びが想定されます。
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