来週の金融市場見通し(2020年8月17日~2020年8月21日)

■来週の見通し

トランプ米大統領は8日に、失業給付の増額など追加経済対策の大統領令を発令しました。ただ、予算編成権を持つ議会では追加の経済対策をめぐり、共和民主両党の協議が難航している模様です。来週は、米追加経済対策をめぐる協議に加え、新型コロナウイルスの感染動向やワクチン開発の進展などをにらみながら、方向感を探ることになりそうです。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、国内では4-6月期の国内総生産(GDP)、7月の全国消費者物価指数なども確認したいところです。

◆株価 :弱含みの展開か

日本株は弱含みの展開が予想されます。国内景気の先行き不安にもかかわらず、今月、日経平均株価は約7%上昇しており、利益確定売りに押されそうです。また、最近の株高はドル高・円安に後押しされましたが、一段の円安は限定的とみられます。米国の経済対策協議が難航していることも、国内外の株価を圧迫する見通しです。ただ、新型コロナウイルスのワクチンへの期待などを踏まえれば、株価が大崩れする可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :一段の上昇は限定的

米長期金利が、国債増発による需給懸念に加え、追加の経済対策や新型コロナのワクチンの早期実用化への期待、また7月の米消費者物価指数(CPI)の大幅な伸びを受けて上昇し、国内の長期金利も0.045%程度と、7月上旬以来の水準まで上昇しました。もっとも、米国ではゼロ金利政策が続くと見込まれること、日銀についても長期金利をゼロ%程度に誘導する政策を続ける中、金利の一段の上昇は限定的とみられます。

◆為替 : 当面はレンジ相場に

国債入札や起債が相次ぎ、需給懸念からやや上昇基調にある米長期金利を背景に、ドル円は若干底堅い動きとなっています。7月下旬のドル下落時の買戻しもあり、当面はレンジ内での調整が続くと考えています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、米景気回復の鈍化が懸念される中、同金利の更なる上昇余地は極めて限定的と思われます。ドル円は中期的には調整一巡後、再び緩やかながら下落基調に戻ると考えています。

◆Jリート :底堅い

Jリート市場は、米景気の先行き不安が後退する中、分配金利回りの高さに着目した買いも入り、堅調な地合いが続いたものの、週末は金利上昇が嫌気され、利益確定売りがやや優勢になりました。引き続き、底堅い推移が見込まれるものの、高値圏にある株式市場が不安定な動きになり、投資家心理が悪化することには注意が必要です。新型コロナの感染動向や株式市場、長期金利などの動きをにらみながら、上値を探ることになりそうです。

来週の注目点

GDP統計(20/4-6月期、1次速報) 8月17日(月)午前8時50分発表 

日本の実質国内総生産(GDP)成長率は、1-3月期に前期比年率マイナス2.2%と、昨年10-12月期(同マイナス7.2%)に続き、2期連続のマイナスとなりました。新型コロナウイルスの流行に伴う外出・イベントの自粛や、海外からの観光客減などが主な要因です。

4-6月期のGDP成長率は、前期比年率20%超の大幅なマイナスが見込まれます。4月の緊急事態宣言発令に伴う外出自粛や店舗休業を受け、特に飲食、娯楽などの消費が大きく落ち込んだ模様です。ただ、緊急事態宣言は5月下旬に解除されたため、それが全国的に再発令されない限り、年後半は景気回復基調が続く見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(8月)  8月21日(金)午後5時発表

マークイットユーロ圏総合PMIは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、急激に悪化した4月を底に3か月連続で改善し、54.9となりました。また、注目の製造業PMIも同様に51.8と改善し、いずれも活動の拡大縮小の境目となる50を超えました。

ユーロ圏では新型コロナウイルスの感染第2波の懸念は強いものの、経済活動再開後、サービス業、製造業とも堅調な動きを見せています。ただ、ユーロ圏外からの受注減少には歯止めがかかっておらず、同指標の継続的な改善については慎重な見方をしています。

 

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