来週の金融市場見通し(2020年6月29日~2020年7月3日)

■来週の見通し

国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しを下方修正し、2020年は深刻な景気後退、2021年は緩慢な回復との見方を示しました。他方、米国では25日、新型コロナウイルスの新規感染者数が約2か月ぶりに過去最多を更新しました。ニューヨーク州など3州は新型コロナウイルスの感染者数の多い州から訪れる人に、14日間の自主隔離を求めると発表、移動制限が米経済の回復に水を差すとの見方も出ています。神経質な動きの中、日銀短観(6月調査)、米雇用統計などでコロナ禍の影響も確認したいところです。

◆株価 :底堅い展開に

日本株は、底堅い展開が予想されます。新型コロナウイルスの感染が再拡大する動きが国内外でみられるものの、経済活動の再開を進める各国の方針は、当面、おおむね維持されそうです。感染拡大国で外出・営業制限などが再強化される場合にも、一部の地域に限定した措置にとどまる見込みです。そのため、すでに世界景気は最悪期を脱したとの見方や、主要国の景気支援策に対する期待が、引き続き日本株を支える見通しです。

◆長期金利 :ゼロ%付近でのもみ合い

長期金利は0.0%を若干上回る狭いレンジでの動きが継続しました。欧米で企業の景況感が改善し、安全資産とされる国債への需要が後退したことに加え、7月以降の国債増発見通しは長期金利の押し上げ材料。一方、新型コロナウイルス感染の再拡大への警戒感も根強く、一方的に国債を売る動きは限定的で、20年国債入札も順調な結果になりました。新型コロナの感染動向や10年国債入札などを確認しながらも、方向感は出にくそうです。

◆為替 : ドル円は緩やかに下落

主要国が徐々に経済活動を再開している中、世界景気の回復期待と新型コロナウイルスの継続的な感染拡大への警戒感がせめぎ合っている状況です。また、足元、日経平均の動きとドル円の動きの相関性は弱まっており、株価が高下してもドル円はあまり動きません(ドル、円とも避難通貨として意識されているため)。とはいえ、米長期金利の上昇余地は極めて限定的であることから、ドル円の上値は重く、徐々に下値を模索する展開でしょう。

◆Jリート :押し目を拾う

Jリートの相対的な分配金利回りの高さに着目した買いが入る一方、上昇すると利益確定売りも広がり、東証REIT指数は1,700ポイントを挟んだ動きが続きました。米国で新型コロナウイルスの感染の第2波が懸念される中、東京でも感染者数が再び増加する兆しが出ていることには注意が必要です。とはいえ、長期金利が低位で推移する中、神経質ながらも、分配金利回りの高さに着目した買いなどから、底堅い動きが続きそうです。

来週の注目点

日銀短観(6月調査) 7月1日(水)午前8時50分発表 

3月調査の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はマイナス8と、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、7年ぶりのマイナスでした。同・非製造業はプラスを維持したものの、昨年12月調査から大きく悪化しました(20→8)。

6月調査では、製造業、非製造業ともDIの極端な悪化が見込まれます。4月に発出された緊急事態宣言に伴う外出自粛や休業などが、景況感を強く圧迫した模様です。営業再開に伴い今後は回復が見込まれるものの、感染再拡大の懸念が残る中、緩やかな回復にとどまりそうです。

米雇用統計(6月) 7月2日(木)午後9時30分発表

5月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比250万9,000人増と予想外に増加し、失業率は13.3%と市場の上昇予想に反して低下しました。一方、平均時給は前月比1.0%下落しました。

新型コロナウイルスの感染拡大による雇用への悪影響は依然大きいものの、米国では段階的に経済活動が再開されており、雇用状況は徐々に改善すると見込まれます。6月の非農業部門就業者数は前月比325万人増程度、失業率は12.1%程度への低下が想定されています。

 

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