来週の金融市場見通し(2020年3月30日~2020年4月3日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)が、7,000億ドルを目安としていた米国債などの買入れ額を当面無制限とする緊急措置を決めたことや、米国の2兆ドル規模の経済対策への期待などを背景に投資家心理がやや持ち直しています。もっとも、恐怖指数とも呼ばれ不安心理を表すVIX指数は26日時点で61ポイントと節目の20を大きく上回っており、不安感は払しょくされていない状況です。各国の経済対策に加え、首都圏で外出自粛を要請するなど、国内での感染状況なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い動きが予想されます。足元、米国の大型経済対策への期待などから日米の株価が大幅に上昇する場面もみられますが、投資家の慎重姿勢は根強く残っています。新型コロナウイルスの感染者は日本でも急増しかねず、これに伴いロックダウン(強制的な外出禁止など)が導入されれば、景気にさらなる打撃を与えそうです。そうした懸念がくすぶっているため、日本株が持続的な上昇基調に転じるとは考えにくい状況です。

◆長期金利 :ゼロ%付近でのもみ合い

FRBによる大規模な資金供給で、米長期金利が落ち着いた動きになっていることや、日銀が臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)を断続的に実施したことなどから、長期金利の上昇は一服しました。もっとも、一段の金利低下には材料に欠ける状況で、財政出動による国債増発への警戒もくすぶり、ゼロ%付近でのもみ合いが続きそうです。3月末に公表される日銀の4月の長期国債の買入れ予定も確認したいところです。

◆為替 : 引き続き変動性は高く

新型コロナウイルス感染が拡大しており、市場は変動性の高い状態が続いています。特に米国の感染者が激増していることから、今後の米国の雇用や個人消費への悪影響が懸念され、ドル売りにつながりやすい状況です。また、一時ひっ迫していた米ドルの資金需給は落ち着きを取り戻しており、ドルの上値は重そうです。一方で2兆ドル(約220兆円)に及ぶ米国の景気対策により、米株価が堅調に推移すれば、ドル円の下支えとなるでしょう。

◆Jリート :不安定ながら底堅い

Jリートは投資家心理がやや改善する中、予想分配金利回りが前週末に6.8%程度まで上昇するなど割安感が強まったことから買戻しが広がり、急反発しました。オリンピック延期決定の影響は限定的でした。もっとも、週後半は利益確定売りが広がり、上げ幅を縮小しました。日銀がJリートの買入れ額を倍増したことは安心材料。予想分配金利回りもまだ5.0%弱と相対的に高い水準です。不安定ながらも、底堅い推移が見込まれます。

来週の注目点

日銀短観(3月調査) 4月1日(水)午前8時50分発表 

昨年12月調査の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)は0と、輸出の不振などを背景に、4期連続で低下しました。また、同非製造業のDI は、消費税増税の影響などのため2期連続の低下となりました。

今回発表される3月調査では、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、製造業・非製造業ともに景況感の大幅な悪化が見込まれます。業種別では、生産の制限、外出の減少、訪日客の減少などを背景に、自動車、小売、運輸、宿泊・飲食などの不振が鮮明となりそうです。

米雇用統計(3月) 4月3日(金)午後9時30分発表

2月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比27万3,000人増と市場予想を大きく上回り、2018年5月以来最大の伸びとなりました。今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比3.0%上昇と堅調な結果となりました。失業率は3.5%と前月から低下しました。

しかし、それ以降、新型コロナウイルス感染者数が米国においても激増しており、今後は米国の雇用状況も大きく悪化することが想定されます。3月の非農業部門就業者数は前月比6万人程度の減少、失業率は3.8%、平均時給は前年比3.0%程度の上昇を想定していますが、今後のすう勢に要注意です。

 

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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