来週の金融市場見通し(2020年2月10日~2020年2月14日)

■来週の見通し

コロナウイルスによる新型肺炎拡大のピークは過ぎつつあるとの見方に加え、中国の金融緩和策や米中相互による関税の一部引下げ(2月14日から)などを受け、金融市場では一旦楽観ムードが広がりました。ただ、ウイルスの感染状況や、それによる中国・世界経済への影響を判断するには、今後のデータをよく確認する必要があります。それら次第で各市場が大きく変動する可能性もあるため、注意を要します。

◆株価 :上値の重い展開を予想

日本株は、上値の重い展開が予想されます。新型肺炎への過度な警戒感が後退し日本株は一旦大幅に上昇しましたが、やや過熱感があるため、目先は利益確定売りに押されそうです。実際、新型肺炎の感染ペースには鈍化の兆しがみられるものの、ウイルスの感染力など不明な点はまだ多く、中国や世界の経済への影響も軽視できません。とはいえ、感染の鈍化がさらに鮮明となる可能性もあり、その場合、日本株は一段の上昇が見込まれます。

◆長期金利 :方向感を欠く

日本の長期金利は、ゼロ%付近での方向感を欠く動きが予想されます。新型肺炎への警戒感が後退し金利上昇圧力が一旦優勢となったものの、世界景気の減速懸念は払しょくし切れません。そのため、安全資産とされる日本国債への需要は依然として旺盛です(国債需要増は金利低下要因)。また、日米ともに金融政策は当面、現状維持が予想されます。それらを背景に、長期金利の一方的な上昇または低下は想定しにくい状況です。

◆為替 : 円安地合いも動きは鈍そう

中国で発生した新型肺炎の感染拡大により調整していた株価は底堅さを取り戻しており、リスク回避の動きは一段落しています。それに合わせドル円も110円程度まで戻しています。今後は中国を中心に新型肺炎の景気への影響を見ていくことになると思われますが、各国が緩和姿勢を継続していることなどから、悪影響は最小限にとどまりそうです。ドル円は底堅いながらも狭いレンジの中、方向感の乏しい状況が続くと思われます。

◆Jリート :上昇余地を探る

新型肺炎の感染拡大は続いていますが、市場は落ち着きを取り戻し、現在は底堅い動きとなっています。1月末の東京都心のオフィス空室率は5か月連続で低下、平均賃料は73か月連続で上昇するなど、オフィス市況は引き続き好調です。長期金利は若干上昇していますが、Jリートの予想分配金利回りは3.5%程度と、依然として魅力的な水準で、相対的な利回りの高さを背景にした先高観は根強く、上昇余地を探る展開を想定しています。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(1月) 2月10日(月)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断DIは、昨年12月に前月差0.4ポイント上昇の39.8となりました。家計動向関連が同0.1ポイント低下した一方、製造業が世界的に回復の兆しを示す中、企業動向関連は同2.1ポイント上昇しました。

1月のDIも、小幅な上昇が予想されます。消費税増税の影響が薄れつつあることに加え、米中の部分的な通商合意などが景況感の改善に寄与しそうです。ただ、消費や輸出の回復が緩慢なものにとどまる中、DIは「良い・悪い」の境目である50を引き続き大幅に下回る見込みです。

米消費者物価指数(1月) 2月13日(木)午後10時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は、昨年12月に総合で前年比2.3%上昇し、市場予想と一致しました。また、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.3%の上昇と市場予想を下回り、前月並みの伸びとなりました。ガソリンなどエネルギー価格の上昇が顕著だったものの、同指標の約30%を占める住居費が昨年1月以来の小幅な伸びにとどまりました。

米国景気をけん引している個人消費は引き続き堅調に推移しているものの、総じてインフレは抑制された状態が継続しています。1月は総合で前年比2.5%、コアで同2.2%程度の上昇を想定しています。

 

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