来週の金融市場見通し(2020年1月20日~2020年1月24日)

■来週の見通し

米中両国は15日、予定通り貿易協議の「第1段階」の合意文書に署名しました。中国が米国産品の輸入拡大や知的財産権保護の強化などに応じる一方、米国は制裁関税の一部を引き下げる内容です。今後は、中国の産業補助金や国有企業改革などの構造問題をめぐる「第2段階」の協議に移ります。もっとも、当面は「第1段階」の合意の履行を確認していくことになりそうです。米中対立への警戒が後退する中、米企業に続き、国内企業の決算、内外の経済指標なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :方向感を欠く展開か

日本株は、明確な方向感を欠く展開が予想されます。米中が第1段階の合意に達したため、貿易摩擦は当面、市場ではさほど材料視されない見込みです。ただし、米企業の決算次第では米国株の調整局面も想定され、日本株もそれに圧迫される可能性があります。ただ、米国景気は依然拡大しており、中国景気も安定化しつつあること、および円高が一巡していることから、日経平均が2万3千円台前半まで下落する可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :ゼロ%付近でのもみ合い

米財務省が中国の為替操作国指定を解除すると発表したことを受け、安全資産とされる国債を売る動き(価格下落、利回り上昇)が優勢になり、長期金利は約3週間ぶりに0.01%まで上昇。その後は米金利が落ち着いた動きになる中、ゼロ%を挟んだ狭いレンジでの動きが継続しました。投資家のリスク選好姿勢がやや強まっていますが、長期金利がプラス圏に浮上すると押し目買いも強まることから、ゼロ%付近でのもみ合いが続きそうです。

◆為替 : レンジ取引継続

米中貿易協議について第1段階の合意がなされ、両国首脳による署名が終了しました。合意内容はほぼ織り込まれていたもので特に波乱はありませんでした。しばらくはリスク選好が優勢になり、ドル円は底堅く推移することが見込まれます。今後は合意の履行状況や第2段階の交渉についての動きに注目ですが、当面はあまり材料とならないでしょう。また、米長期金利の上昇は限定的と思われ、ドル円の上値も限定的でしょう。

◆Jリート :戻りを探る

米中両政府が貿易協議の第1段階の合意に署名したことなどから、米中関係の改善期待が強まり、投資家のリスク選好姿勢が強まる中、Jリート市場も買いが優勢になりました。長期金利が狭いレンジでの落ち着いた動きになったこと、Jリートの先高観が根強いことも押上げ材料になった模様です。Jリートの予想分配金利回りは3.5%台後半と依然として相対的に高い水準です。利益確定売りに押されながらも、底堅い動きが継続しそうです。

来週の注目点

貿易統計(12月) 1月23日(木)午前8時50分発表 

11月の輸出は前年比7.9%減の6兆3,790億円と、12か月連続で減少しました。世界経済の減速を背景に、広範な国・地域向けの輸出が減少しました。また、輸入は前年比15.7%減の6兆4,642億円となりました。この結果、11月の貿易収支は852億円の赤字となりました。

12月の輸出も前年比減少が見込まれます。ただ、米国・EU向けの輸出が引き続き伸び悩むとみられる一方、中国などアジア向けについては、底打ちの動きがみられます。米中貿易摩擦が和らいでいることも踏まえると、今年の輸出については、緩やかな回復傾向が見込まれます。

ユーロ圏製造業PMI(1月)  1月24日(金)午後6時発表

マークイットユーロ圏総合は、12月は50.9となりました。11月からやや改善したものの、拡大・縮小の分岐点である50に接近しています。また、注目の製造業PMIは46.3と再び悪化し、50を大きく割り込んだ状況が継続しています。

ユーロ圏ではサービス業が比較的堅調で総合指数を支えているものの、製造業は引き続き脆弱な状況です。サイクル的に製造業に底打ち感が出てきたとの見方もあるものの、中国など外需の動きは引き続き鈍く、1月も製造業PMIは46.7程度を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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