来週の金融市場見通し(2019年8月19日~2019年8月23日)

■来週の見通し

米政権が13日、中国製品への制裁関税「第4弾」について、一部品目の発動を9月から12月に先送りすると表明したことから、米中対立への警戒感がやや和らぎました。ただ、翌日には米国債券市場で一時10年債利回りが2年債利回りを12年ぶりに下回り、景気後退入りの前兆とされる「逆イールド」が発生したことから、投資家のリスク回避の動きが強まりました。来週は米中の動向を確認しながら、23日のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を待つことになります。

◆株価 : 小幅に反発か

日本株は小幅に反発する展開が予想されます。世界経済の後退懸念が広がっているものの、米国や日本の景気は依然底堅さを示しています。特に米国では個人消費が拡大しており、近い将来に景気後退に陥る可能性は低いとみられます。また、9月に米国で追加利下げが見込まれることも、米国や日本の株価をサポートしそうです。ただ、米中貿易摩擦や円高圧力などを踏まえると、日本株の反発は限定的なものにとどまる見通しです。

◆長期金利 : 居所を探る

米中貿易摩擦の激化を背景に、世界経済の後退懸念が広がる中、安全資産とされる国債は買いが優勢(価格上昇、利回り低下)。日銀が国債買入れオペを減額したものの反応薄で、国内の長期金利は一時マイナス0.255%まで低下しました。米長期金利が一時1.5%を下回るなど、世界的な金利低下が続く中、国内金利も上昇しにくい状況が続きそうです。週末にパウエルFRB議長の講演を控え、様子見姿勢も広がりそうです。

◆為替 : ドル円は下値を模索

トランプ米大統領が発表した中国からの輸入品3,000億ドルについての10%の追加関税が一部先送りとなったことから、米中貿易協議の行方については若干安心感が出ています。しかしその帰すうは引き続き混とんとしており、また、世界経済の後退懸念は強く、リスク回避の円買いが出やすい状況です。また、米長期金利は低下基調で推移しており、ドル円の上値は乏しく、徐々に下値を探る動きとなりそうです。

◆Jリート : そろそろスピード調整も

東証REIT指数は6営業日続伸し、節目の2,050ポイントを上抜け、2007年8月以来の水準まで上昇。配当込みの東証REIT指数は過去最高値を更新しました。世界的に低金利が長期化するとの観測が広がり、国内の長期金利がマイナス圏でじりじりと低下する中、堅調な地合いが継続しています。スピード調整が入る可能性はあるものの、内外の金利が低下する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いが下支えしそうです。

来週の注目点

貿易統計(7月) 8月19日(月)午前8時50分発表 

6月の貿易統計によると、輸出は前年比6.6%減、輸入は同5.2%減となり、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は5,896億円の黒字となりました。国・地域別では米国向けの輸出が堅調である一方、欧州向けやアジア向けが低迷しています。特に中国向けの輸出は、6月まで4か月連続で前年比減となりました。

7月の輸出についても、引き続き中国向けの低迷を主因に、前年比減が見込まれます。米中貿易摩擦などを踏まえると、年内に輸出が急回復する可能性は低いとみられます。ただ、国内景気の減速で輸入も減少基調が続くとみられるため、大幅な貿易赤字は避けられる見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(8月)  8月22日(木)午後5時発表

マークイットユーロ圏総合PMIは、今年1月の51.0を底に若干戻しており、7月は51.5となりました。一方、注目の製造業PMIは今年2月に拡大・縮小の分岐点である50を割り込み49.3となって以来、低下傾向にあり、7月は46.5まで大きく低下しました。

ユーロ圏ではサービス業は比較的堅調ですが、特にドイツの自動車産業など、製造業は引き続き減速感が強い状況です。米中通商協議の行方が引き続き混とんとしており、中国を中心に域外需要が大きく減少していることや、英国の欧州連合(EU)離脱の不透明感も払拭されず、8月も製造業PMIは低迷が継続しそうです。

 

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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