来週の金融市場見通し(2019年6月3日~2019年6月7日)

■来週の見通し

中国はレアアース(希土類)の対米輸出の規制を示唆したほか、6月1日には予定どおり、600億ドル分の米国製品に対する追加関税の引上げ措置を発動する模様です。他方、トランプ米大統領は、メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に関税を課すと表明しました。貿易摩擦から目が離せませんが、米サプライマネジメント協会(ISM)景況指数、米雇用統計なども確認したいところです。

◆株価 : 引き続き軟調な展開を予想

日本株は、引き続き軟調な展開が予想されます。懸案の米中通商協議は、依然として不透明な情勢です。さらに米大統領は、6月10日からメキシコ製品に関税を課す旨を表明しました。これが実施された場合、メキシコに工場を持つ日系自動車メーカーなどにも影響するため、日本株を少なからず圧迫しそうです。ただ現時点では、世界経済への悲観は行き過ぎとみられ、日経平均株価が2万円を割り込む可能性は当面低いと考えられます。

◆長期金利 : 一段の低下には警戒感も

米中貿易摩擦への警戒から国債を買う動きが優勢になり、長期金利はマイナス0.10%まで低下。一旦上昇したものの、トランプ氏がメキシコに関税を課すと表明したことから、再びマイナス0.10%に。ただ、日銀は6月の長期国債の買い入れ方針で、10年超のオペの回数を減らし、買入額の上限を引き上げました。実質的には減額とみられ、金利の低下を抑制する姿勢を見せたことから、金利低下はひとまず一服する可能性が高そうです。

◆為替 : ドル円は上値重い

米中通商協議が暗礁に乗り上げ、米欧の貿易協議も進展が見られず、世界景気への影響懸念から米長期金利は低下基調で推移しています。世界的に株価も不安定な状態が続いており、リスク回避の円買いが出やすく、基本的にドル円の上値は重いでしょう。来週は日米株価がここから大きく崩れなければ、108円から110円程度を中心とした方向感の乏しい展開が想定されますが、さらに大きく下落した場合は、108円割れの可能性も。

◆Jリート : 押し目待ち

東証REIT指数は、一進一退の中、利益確定売りに押される展開になりました。29日には米長期金利が約1年8か月ぶりの低水準、国内の長期金利もマイナス0.10%まで低下するなど内外の金利に低下圧力が掛かる中、分配金利回りの高さに着目した買いが入り、配当込みの東証REIT指数は過去最高値を更新しました。その後は利益確定売りが優勢に。分配金利回りの高さは魅力ながらも、高値圏での利益確定売りには注意が必要です。

来週の注目点

毎月勤労統計(4月) 6月7日(金)午前8時30分発表 

毎月勤労統計調査によると、3月(速報値)の従業員1人あたり名目賃金は前年比1.9%減、物価上昇分を調整した実質賃金は同2.5%減と、いずれも大幅なマイナスを示しました。企業のコスト抑制意欲が根強い中、4月についても名目・実質ともに前年比減少が見込まれます。

ただし、本統計では今年1月に調査対象企業の部分入替えが行われました。これに伴い、今年の賃金上昇率は実態よりも若干低めに算出されている可能性があります。

米雇用統計(5月) 6月7日(金)午後9時30分発表

4月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比26万3,000人増と市場予想を大きく上回り、また、失業率が3.6%と、49年ぶりの低水準となりました。一方、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比で3.2%上昇と市場予想を若干下回りました。

賃金が前年比3%程度伸びる中、失業率は歴史的低水準にあること、雇用者数は堅調に伸びていることなどから今後も個人消費を下支えすると考えられます。5月の非農業部門就業者数は前月比19万人程度の増加、失業率は3.6%、平均時給は前年比3.2%程度の上昇を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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