来週の金融市場見通し(2019年5月13日~2019年5月17日)

■来週の見通し

米国は10日に中国からの輸入品2000億ドル相当に対する関税を10%から25%に引き上げました。もっとも、交渉が決裂したわけではなく、ワシントンで9日に始まった米中貿易協議は10日も継続される予定です。米中首脳による電話会談の可能性も残ります。来週は、米中貿易協議の動向に加え、3月の景気動向指数、米中の4月の小売売上高など、内外の経済指標を確認しながら方向感を探ることになりそうです。

◆株価 : 不安定な展開に

日本株は米中貿易協議の動向をにらんでの不安定な展開が見込まれます。10連休中、為替などは比較的落ち着いた動きにとどまったものの、通商関係をめぐる米中の協議が終盤で難航し、10日には追加関税が発動されました。その懸念から日本株は大きく下落しましたが、協議は継続しており、それが何らかの合意に至った場合、株価の急反発もあり得ます。一方、協議が完全に頓挫した場合には、さらなる株価下落を余儀なくされそうです。

◆長期金利 : 低位もみ合い

連休明けの7日は、米中貿易摩擦への懸念から、安全資産とされる国債を買う動きが優勢(価格上昇、利回り低下)になり、長期金利は一時マイナス0.065%まで低下しました。その後は一段の金利低下への警戒感から一進一退の動きに。米中貿易協議が進展すれば、国内金利に上昇圧力が掛かる可能性も。ただ、日銀が強力な金融緩和を粘り強く続ける中、投資家の押し目買い意欲も根強く、国内金利の上昇は限定的とみられます。

◆為替 :  ドル円は下値模索か

ドル円はこのところ狭いレンジ内での取引が続いていましたが、最終合意へ向け楽観視されていた米中貿易協議が暗礁に乗り上げ、トランプ米大統領は10日に中国からの輸入2000億ドル分について追加関税を発動しました。その混乱を背景に米長期金利は低下しており、リスク回避の円買いと相まってドル売り優勢となっています。来週は今後の米中貿易協議関連の情報に振らされながらも基本的にはドルの上値は重そうです。

◆Jリート : 底堅い動きが継続

連休明けの7日は、長期金利の低下を好感し上昇。その後は米国が対中関税を引き上げることへの警戒感から株価が大きく値を下げるなど、投資家のリスク回避姿勢が強まり、Jリートは軟調な動きに。ただ、週末は値ごろ感からしっかりの動きになりました。Jリートは、米中貿易摩擦の影響を受けにくいことに加え、長期金利が低位で推移する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いも期待できることから、底堅い推移が見込まれます。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(4月) 5月14日(火)午後2時発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断DI(季節調整値)は、3月に前月比2.7ポイント低下の44.8となりました。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のいずれも低下し、景況感の幅広い低迷が示されました。

今回発表される4月分については、5月の改元による祝賀ムードや大型連休に伴う消費活性化への期待などから、前月比で小幅な上昇が予想されます。ただ、4月以降の食料品値上げによる消費への影響、および海外情勢をめぐる不透明感などを背景に、現状判断DIは「良い・悪い」の境目である50を引き続き下回る見込みです。

米小売売上高(4月) 5月15日(水)午後9時30分発表

米国の小売売上高は3月に前月比1.6%増と予想外に増加し、2017年9月以来の大幅な伸びとなりました。食品、衣料品、自動車、ガソリンなどほとんどの項目で増加しています。

引き続き米国では個人消費が景気を支えていると言えそうです。前年比3%程度の堅調な賃金の伸びや歴史的な低失業率、また、米連邦準備制度理事会の利上げ停止見通しなどがその背景と思われます。昨年12月にマイナス圏に大きく落ち込んだ同指標ですが、一時的な落ち込みだった可能性が高まっています。4月は3月の反動もあり、前月比0.2%増程度を想定しています。

 

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