中国の経済政策は債務問題との戦い

2019/02/08

今週の国内株式市場ですが、日経平均はこれまでのところ比較的堅調ではありますが、節目の21,000円台を射程圏内に捉えながらもなかなか乗せきれない展開が目立っています。とはいえ、国内企業の相次ぐ決算発表に反応する動きはあるため、「市場全体という広大なジャングルは静かだが、個別銘柄の局所で見れば派手なゲリラ戦が繰り広げられている」状況と言えます。

 

 また、今週は春節のために中国本土株市場がまる一週間お休みです。その中国では、来月に入ると全人代(全国人民代表大会)が控えていますが、米中協議の期限は3月までとなっていますので、重要な政治イベントを前にして宿題が課されている状況です。

 

中国経済に目を向けると、すでに減速傾向を辿っていましたが、米中摩擦がその流れを加速させた面があり、中国当局も矢継ぎ早に経済政策を随時拡大させてきています。昨秋以降、減税やインフラ投資、企業への金融支援、自動車や家電購入に対する補助金など、その規模は現時点で2.5兆元と言われています。リーマン・ショック直後の2008年に打ち出した経済対策の規模が4兆元でしたので、今回もかなりの規模感であることがわかります。

 

当時の中国経済はこの4兆元政策で見事に息を吹き返したわけですが、果たして今回は中国経済を浮上させることができるのでしょうか?

 

そもそも、加速する前の中国経済の減速は意図的な面があります。大規模な財政出動の副作用で債務が膨れ上がったことが問題化したため、中国当局は債務削減など「サプライサイド改革」へと舵を切っていたことが背景にあります。それを再び財政出動へと方針転換したということは、当局の警戒感の現れと見ることができます。

 

とりわけ、インフラ投資のメインとなるのは鉄道事業なのですが、国営企業である中国鉄路総公司における19年の投資額は経済政策の影響もあって8,500億元規模と過去最高の見込みとなっています。ただし、これが後々の問題となる可能性があるため注意が必要です。

 

というのも、投資が行われ、鉄道を建設しているあいだは、ヒト・モノ・カネが動くため、経済にとってプラスですが、完成した後の鉄道が中国経済にどこまで寄与できるかが懸念されるからです。

 

実際に、中国の高速鉄道の営業距離は既に29000キロに達していますが、その中で利益が出ている路線が北京〜上海間などに限られ、ほとんどが赤字路線となっていて、「作ったのは良いものの、収益をもたらしていない」状況になっているほか、さらに、鉄道網を急ピッチで拡大させたのに伴って債務も同じように増えています。

 

減税や補助金なども中国の財政を圧迫させるものですので、中国経済は政策効果への期待と債務問題再燃の不安とバランスで評価されることになりそうです。

 

 

 

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