政治的要素による株価上昇はどこまで?
4営業日となる今週の国内株市場ですが、連休明けの19日(火)の日経平均はローソク足が「窓」を空ける格好で大幅上昇して取引時間中に年初来高値を更新するなど、株価水準が一段引き上げられる動きでスタートしました。この日の東証1部の時価総額が613兆円を超え、これまでの最高額になったことも話題となりました。
今週は注目の米FOMCが19日~20日の日程で控えていたため、まずはイベントを見極めてからということで、「相場が動意づくのは週末にかけて」というシナリオも想定されていたこともあり、この株価急上昇は少し驚きだったかもしれません。
日経平均の反発と上昇自体は先週から始まっていました。地政学的情勢(北朝鮮動向)や自然災害(米国を襲ったハリケーンの影響)、米財政の崖(債務上限引き上げ)などの不安材料がひとまず後退したことが背景にありますが、さらに、連休中の先週末に浮上した衆議院の解散選挙への観測という政治的要素が週初の上昇に弾みをつけた様な印象です。
「選挙期間中は株高が多い」というアノマリーがあることや、選挙の争点で新たな経済政策が出てくることへの期待、現政権に不満がありながらも、コレといった野党の受け皿がなく、北朝鮮をめぐる緊張が続いている中での政治的空白や混乱は避けたいという状況の中では、今後の選挙で与党が勝利する見込みが強く、安定的な政権基盤が継続するのではという思惑が働きやすかったと思われます。
政治的な要素といえば、中国株市場でも上海総合指数が年初来高値圏での推移が続いていますが、その理由のひとつに、中国もビッグイベントである中国共産党の党大会(10月18日~)を前にして、当局は金融市場を混乱させることはないだろうという見方があります。
いずれにせよ、今後は年初来高値を更新した日経平均が上値を伸ばすことができるかが注目点になります。テクニカル分析的には、現在の日経平均と移動平均線との乖離が進んでいる状況ですが、ここ数年間は日経平均が少し動意づくと乖離が3%ぐらい、昨年の英国EU離脱を問う国民投票や米国大統領選挙時といった急変時には6%ぐらいまで乖離が進む傾向があります。
19日の取引終了時の乖離はすでに3%を超えていますので、一服感が出てもおかしくないのですが、直近過去の日経平均の急上昇時(4月半ばから5月にかけて上昇した時)は5%台まで乖離が進みましたので、さらなる上値追いの可能性はありそうです。なお、政治的要素という視点でみれば、アベノミクス相場での日経平均最高値は、2015年6月24日の取引時間中につけた20,952円になります。
もっとも、今週はトランプ米大統領が国連総会で演説し、北朝鮮情勢について、「米国と同盟国を守ることを迫られれば、(北朝鮮を)完全に破壊する以外の選択肢はない」という強めのトーンの発言があり、今後北朝鮮が何かしらの反応を示すことも考えられますし、国内の選挙絡みでは、消費増税の議論で新たな動きが出てくるかもしれません。具体的には、昨年6月に決定した「消費税率10%への引き上げを2019年10月まで延期する」スケジュールが前倒しなどの変更があるかです。これまで消費税率の引き上げ実施や延期などの変更は相場や実体経済に影響を与えることが多く、注意が必要と言えます。
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