GDP結果が示す通りに中国経済は強いのか?

2017/04/20

今週の国内株市場ですが、日経平均は週初に年初来安値を更新してスタートしたものの、その後は反発する場面が見られ、引続き北朝鮮情勢の緊迫感や週末の仏大統領選挙など不安要素は燻っていますが下げ渋りを見せるような動きになりつつあります。

そんな中、中国ではGDPをはじめとする主要な経済指標の発表が4月17日(月)に行われました。1-3月期の中国GDP(実質)は、前年同期比でプラス6.9%となりました。2四半期連続のプラス成長だったほか、3月に開かれた全人代(全国人民代表大会)での政府目標が6.5%前後でしたので、その目標を上回っています。

6.9%の寄与度を見ていきますと、消費が5.33%pt、投資が1.28%pt、純輸出が0.29%ptとなりました。2016年がそれぞれ、4.33%pt、2.83%pt、マイナス0.46%ptでしたので、消費が堅調に伸び、かつ輸出がプラスに回復したことになり、政府が掲げる「製造業からサービス業への転換」という構造改革が進んでいると見ることができます。今年の秋には中国共産党の最高指導部人事を決める党大会が行われる予定で、政治・経済の安定をはかる当局としては幸先の良いスタートだったといえます。

ただし、GDPと同じ日に発表された別の経済指標では、消費を示す小売売上高(1-3月期)が前年同期比でわずかに減少したほか、投資を示す固定資産投資は大幅に増加しています。先ほどの寄与度とは逆のイメージです。また、GDPを産業別でみると、1-3月期は昨年の10-12月期と比べて、1次産業と2次産業が加速する一方で3次産業が減速しています。特に、1-3月期の固定資産投資は前年同期比9.2%増で、2016年(8.1%増)から加速しているほか、その中でも道路や空港といったインフラ投資は23.5%増と大きくなっています。結果的に足元の中国経済の底堅さは政策によって支えられている面が大きいことをあらためて印象づける格好になっています。

今回のGDPの結果に加え、懸念されていた米中の通商摩擦への警戒も今のところ後退していますので、本来であれば株式市場にとってもプラスなのですが、上海総合指数は4月11日に約1年3カ月ぶりの高値をつけた後は冴えない展開が続き、GDP発表後も軟調な場面が目立っています。

直前まで「新特区」構想がテーマに浮上し、株式市場が上昇基調だったことの反動もあるかと思われますが、GDPが思ったよりも堅調だったことが却って、中国が抱える課題(債務増加や過剰生産能力、ゾンビ企業整理)などの改革の取組みが積極的になるのではという思惑が働きやすくなっているのかもしれません。

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