日経平均17,000円台回復のその先

2016/06/03

伊勢志摩サミットも終了し、6月入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は節目の17,000円水準を4月末以来に回復する場面も見られました。消費増税の再延期決定や、米国の利上げ観測を織り込んだ同国株市場が崩れていないことなどが背景になった格好です。

東証1部の売買代金はようやく2超円台乗せの日が増えてきましたが、正直盛り上がりに欠けています。だからと言って、足元の相場の堅調地合いが長く続かないと見るのは早計という声もあります。その根拠とされるのは、市場で最近よく耳にする「足元の相場が2014年夏場の時と似ている」という指摘です。当時の日経平均も上昇基調でしたが、東証1部の売買代金は2兆円に届かない日が目立っていました。

また、先月(4月)にも見られた、いわゆる「日銀プレイ」によって相場の上振れの可能性もありそうです。スケジュール的には来週末のメジャーSQ後に日米の金融政策会合が控えています。今週のイベント(OPEC総会や米雇用統計)等で外部環境が大きく悪化しなければ、来週末まで先物主導の思惑などによって株価の値動きが大きくなるシナリオも描けそうです。

とはいえ、継続的な株価上昇には外国人投資家の買いが必要になります。ただし、それに関してはサミット以降、日本株を「敢えて」買う外国人があまり増えない、むしろ減ってしまうことに不安が感じられるようになってきたように思えます。その理由として挙げられるのは、先日の伊勢志摩サミットにて、「世界経済が2008年のリーマン・ショック前の状況に似ており、危機に陥るリスクがある」と安倍首相が示したことです。

その後の国内外のメディアでこの発言が否定的に報道されたのは記憶に新しいですが、悪い言い方をしてしまうと、「この程度の経済認識の首相が牽引している経済政策は大丈夫なのか?」と、外国人投資家に受け止められてしまいかねないということになります。

また、そもそもサミット開催前の5月23日に公表された月例経済報告では、「世界の景気は弱さが見られるものの、全体としては緩やかに回復している」。先行きについては、「緩やかな回復が続くことが期待される」と記載されていました。であれば、月例経済報告のわずか数日のあいだに経済が危機的リスクに晒されるようになったことになります。となると、安倍首相の発言からは、「消費増税延期を自らの経済政策の失敗ではなく、世界経済環境の悪化のせいにしたい」という思惑が感じられます。

いわゆるアベノミクス相場はこれまで外国人の買いによって支えられてきましたが、直近の消費増税延期決定に加え、その前にも「一億総活躍プラン」の概要などが伝えられてきたにもかかわらず、株式市場の反応は薄商いの連続でした。外国人投資家の日本株に対する関心が低下していることを示しているのであれば、国内株市場の先行きはあまり強いものにはならないことを暗示している可能性もあり、注意が必要と言えそうです。

 

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