「思ってたのと違う」GDPでシナリオ練り直し?
今週18日(水)に、注目の国内1-3月期GDP(1次速報値)が公表されましたが、その結果は年率換算でプラス1.7%でした。事前の予想では「大体プラス0.2%ぐらい」というのが多かったため、予想外に強い数字が出てきたわけです。
この結果を受けた国内株市場ですが、日経平均は約280円の値幅内で上げ下げを繰り返し、やや慌しい動きとなりました。前日までは、GDPの公表が市場を動意付かせるきっかけになるとして目されていましたが、いざ蓋を空けてみた市場の初期反応は、その結果を消化しきれなかった印象です。その理由はご存知の通り、「今回のGDPは弱いものとなるだろう」という見方が大勢を占めていたためです。
弱いGDPというのを前提に、(1)消費増税延期の見込みが高くなり、(2)より規模の大きい経済政策への期待が高まり、(3)日銀の追加金融緩和観測が高まるというシナリオが描かれていたため、「思ってたのと違う」結果によって、どういう風に反応すれば良いのかちょっと困ってしまったというのが、18日の日経平均の動きに現れた格好です。
となると、今後の株式市場の展開はこれまでのシナリオを練り直しながら推移していくことになりそうです。まず、(1)の消費増税延期判断については、「増税延期の確信を強めたい」という当てが外れたため、不透明感が強まったのは確かです。また、(3)については、この日の銀行株が大幅に上昇しました。直近の銀行株は、さらなる追加緩和観測(マイナス金利拡大)によって利ざやが縮小するとの懸念から下落していましたので、とりあえず次回(6月)の会合での追加金融緩和観測は少し後退したとみる向きが多かったようです。
そして、(2)については政策期待が遠のいたとする見方(ネガティブ派)と、あまり変わらないとする見方(ポジティブ派)に分かれたようです。「順調に経済が復調しているのであれば、大型の補正予算を組む大儀名分も立ちにくくなるかも」というのがネガティブ派の見解のようですが、その通りになれば(1)の消費増税も延期無く実施される可能性も高まることになり、これが18日の売り圧力になったと考えることができます。
一方、現政権は「2021年までに名目GDPを600兆円にする」という目標を掲げていますが、今回の名目GDP額は約502兆円です。目標達成のためには、年3%以上のGDP成長が必要になってきます。今回の成長率(1.7%)は、事前予想よりはかなり強い数字でしたが、このペースでは目標は達成できないため、「経済政策の手綱を緩めることはないだろう」というのがポジティブ派の見方です。折りしもGDPが発表されたこの日に、政府から「骨太の方針」と「一億総活躍プラン」の素案がまとめられました。伊勢志摩サミットがいよいよ来週開催されるタイミングでもあり、経済政策期待と評価が相場の材料となる展開が続きそうです。
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