「TACO(タコ)」った株式市場と相場の時間軸

2026/03/13

今週の株式市場も、イラン情勢に対する警戒感の中での推移が続いています。

日経平均は週初の9日(月)に先週末比で2,800円超も下落し、「令和のブラックマンデー(2024年8月5日)」以来、過去3番目の下げ幅を見せたものの、翌10日(火)を迎えると1,519円高の急反発、そして続く11日(水)も776円高となり、2日間で9日(月)の下げ幅の8割を取り戻し、市場のムードが一変した印象です。

こうした相場のムードがガラリと変わったのは、トランプ米大統領がイランへの攻撃をめぐり、「(軍事作戦が)予定より前倒しで進展している」、「戦争はほぼ終結したと思う」と発言したことがきっかけとなりました。先週までは事態の長期化も覚悟している旨の発言をしていただけに、イラン情勢の短期収束への思惑が盛り返した格好です。

トランプ米大統領が軍事衝突の終結に向けた姿勢を示したことが足元の相場を支えているわけですが、イラン情勢の長期化に伴う原油・LNG価格の上昇もしくは高止まりによるインフレ進行や、景気への悪影響を嫌がったトランプ米大統領が態度を軟化させたという、昨年の相場でも見られた「TACO(Trump Always Chickens out = トランプはいつもビビッて退く)」の再来という見方もあるようです。

もっとも、イラン側の態度は強硬姿勢を崩しておらず、周辺国への攻撃が散発しているほか、ホルムズ海峡の航行をめぐっても、イラン革命防衛軍が機雷を海上に設置したとか、船舶を攻撃したという報道があるなど、順調に収束できるかは依然として不透明な状況が続いているほか、米国と共にイランを攻撃したイスラエルの動向も気掛かりであるため、事態が長期化してしまう警戒はくすぶっています。

実際に、日経平均の日足チャートを見ると、今週の株価は荒い値動きの中で、下値は75日移動平均線がサポートなる一方、上値は25日移動平均線に届かず、2つの移動平均線の範囲内にとどまっています。これにより、ひとまずは3カ月間の値動きの中心線である75日移動平均線までのリスクを織り込む格好で下落した後、様子をうかがっている状況にあることが読み取れます。

そのため、イラン情勢が短期で収束する見込みとなれば、25日移動平均線を上抜けて行く展開、長期化の見込みが強まれば、75日移動平均線を下抜けて株価水準がもう一段階切り下がっていく展開、そして、状況がハッキリしないあいだは、現在の2本の移動平均線付近での推移というのが、当面の値動きの想定シナリオとなりそうです。

また、相場は常に将来を見据えながら動いて行きますが、「どのくらい先の将来を見据えるか?」については、その時の相場環境によって長くなったり、短くなったりします。例えば、日経平均が6万円台をうかがっていた先日までは、来期(2027年3月期)の国内企業の業績急回復期待や、安定的な政権基盤を獲得した高市政権への安心感と期待感など、見据えていた将来の時間軸は比較的長かったのですが、イラン情勢によって現在の時間軸はかなり短くなってしまったと思われ、しばらくは目先の材料に敏感に反応し、値動きの荒い展開が続くことになりそうです。

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