日経平均の「トレンド転換」と「調整」の分水嶺

2024/03/15

今週の株式市場ですが、13日(水)の取引終了時点で、日経平均が38,000円台まで株価水準を切り下げる展開となっています。

先週の日経平均は40,000円台という未踏の領域に達していただけに、足元の株価下落が、短期的な「トレンド転換」なのか、それとも「調整局面」なのかが気になるところですが、日銀金融政策決定会合や、米FOMC(連邦公開市場委員会)という金融政策イベントが来週に控えていること、そして、テクニカル分析的にも、25日移動平均線がサポートとして機能していることなどを踏まえると、今のところは後者の調整局面という見方が優勢と思われます。

ただし、日経平均が38,000円台を下回る動きとなった場合には注意が必要かもしれません。そのポイントになっているのは、2月に入ってからの日経平均の「上げ方」です。

2024年の日経平均は、1月に34,000円台から36,000円台と約2,000円の上昇幅でしたが、2月は36,000円台から4万円をうかがう約4,000円の上昇幅と、1月の倍近くの大きさとなっています。結果的に株価は大きく上昇してはいるものの、日足チャートでローソク足の並びを確認すると、2月は足の短いローソク足が数日続いた後、大きな陽線の出現で株価水準を切り上げるという値動きが繰り返されています。

とりわけ、日経平均がこれまでの最高値(38,915円)を更新し、40,000円台をトライしていた2月半ばからのローソク足は、「十字足」もしくは「コマ足」と呼ばれる形が多く出現しています。

こうした状況は、日々の値動きでトレンドの強さが確認できるほど買いが続いたわけでもなく、かといって、押し目を作るほどの株価の下落もなく、突如として出現する大きな陽線1本で株価水準が切り上がるという値動きだったことを意味します。実際の売買で利益を得るのは難しく、「あまり良い株価の上げ方ではなかった」ことになります。

つまり、40,000円超から38,000円は、最高値更新といった高揚感があった一方で、不安定な価格帯ということになり、ひとたび株価が伸び悩むと、価格帯の下限である38,000円まではあっさり下げやすくなると考えられ、実際に、足元の株価はそれに近い動きを辿っていたと言えます。

別の見方をすれば、38,000円までの株価下落は想定される下げ幅ですので、ここで踏みとどまることができれば短期的な調整局面となりますが、さらに下回るような動きになってくると、株価水準がもう一段階の調整が深まることが想定されます。

来週の日米の金融政策イベントを通過した後は、「半導体・IT株が盛り返せるか」、「米景況感の堅調さが続くのか」といった、最近のテーマに戻っていくことになりますが、38,000円水準が相場の分水嶺として意識されることになりそうです。

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