日本株は「上昇第2シーズン」入りするか?

2023/09/22

連休明けで迎えた今週の国内株市場ですが、これまでのところ、先週に演じていた「戻りをうかがう展開」が一服している印象です。20日(水)の取引終了時点では、日経平均が週初からの2日間で下げ幅が500円を超えた一方で、TOPIXについては小幅な下落にとどまっており、全体としての日本株は堅調さをまだ保っていると言えます。

とりわけ、最近はTOPIXの強さが際立っていますが、海外投資家の長期資金が時価総額の大きい銘柄を中心に、比較的割安な日本の主力株を買っているのではという見方がその主因として挙げられています。

確かに、先週末9月15日時点の日米の株式益回りを比較すると、日経平均の225銘柄で6.22%、東証プライム全体で6.12%なのに対して、米国ではS&P500で4.93%、NASDAQで3.66%となっており、単純な比較では日本株の方に強さが感じられます。

また、株式の益回りは債券利回りとよく比較されますが、15日時点の米10年債利回りが4.32%ですので、米国株は債券利回りから見ると、あまり差はなく、「であれば、リスク資産の株式よりも安全資産の債券の方が魅力的」ということになり、結果として割高となります。それに対して、日本株は債券利回りとの比較で判断するならば、まだ上昇の余地があると考えることができそうです。

日本株は4月~5月にかけて大きく上昇する場面がありましたが、足元の日本株の強さを受けて、「今後は日本株上昇の第2シーズン入りする」という期待もあるようです。前者はグロース(成長)株を中心に、短期資金による先物主導で上昇しましたが、今回はバリュー(割安)株を中心に、中長期の資金が主導する構造と言えます。

とはいえ、現時点ではまだ判断するのは早計かもしれません。というのも、足元の株価上昇は、先日の岸田政権の内閣改造によって、「近いうちに解散総選挙が実施されるのでは?」という思惑が働いていることや、売り方が踏み上げられて上昇しているという面があるからです。

さらに、国内の景気がまだ回復途上にあるという点もあります。例えば、実質賃金が伸びていないことをはじめ、国内消費支出の伸び悩みや、良好とされている4-6月期GDPの結果も、中身を見ると、外需の寄与度が大きく、内需は弱いままですので、日本株は世界景気の影響を受けやすい状況にあまり変化は見られていません。特に中国の景気悪化の影響を市場は織り込んでいないと思われます。

そのため、日本株が継続的に上昇していくには、今後の物価上昇が賃上げを伴って進行することや、来月から本格化する国内企業の7-9月期決算で、業績見通しの上方修正が増えるなどの条件を満たす必要があります。

今週で金融政策イベントが一巡しますが、企業決算シーズンが本格化する来月半ばまでにはまだ、時間的な猶予があり、相場がここ2~3週間をどう過ごしていくのかが焦点になりそうです。

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