景況感の織り込みと、米FRBのタカ派姿勢
10月相場入りとなった今週の株式市場ですが、日経平均はこれまでのところ戻り基調が目立っています。5日(水)に節目の27,000円台を回復し、6日(木)の取引も続伸でスタートしています。26,000円台割れとなっていた先週末時点の株価水準からわずか数営業日で1,000円以上駆け上がったことになります。
2022年相場も残り3カ月を切りましたが、これまでの日経平均は「急落後に急反発」というパターンを繰り返しながら推移してきました。3月9日の安値(24,681円)を底に、以降の安値は5月、6月、7月のいずれも26,000円台を下回ったところで下げ止まっていて、今回も同様の展開となっています。つまり、日経平均は意識されるポイントでしっかり下げ止まり、値幅が広めのレンジ相場が続いてきたと考えることができます。もちろんこれらのポイントは、「下抜けてしまえば、株価が大きく下げてしまうかもしれない」という相場シナリオの分岐点でもあることには注意が必要です。
この「急落後に急反発」パターンは米国株市場についても当て嵌まります。ただし、米NYダウの値動きを確認すると、日経平均とは異なり、株価の上げ下げを経るごとに、2月、5月、6月、そして直近9月と、次々に年初来安値を更新しています。明確な下落トレンドの最中にあるほか、上げ下げの幅も次第に拡大しているのも気になります。日本株の日々の値動きや短期的な動向は米国株市場の状況に大きく影響を受けますが、中長期的な相場展開については日米の株式市場でかなり異なっていることがうかがえます。
また、年初来安値を更新している米国株に比べて日本株が堅調な背景としては、新型コロナウイルス規制の緩和によるリオープン(経済再開)期待が欧米よりも遅れてやって来ていることをはじめ、輸出関連企業の業績やインバウンド期待といった円安メリット、そして日米の金融政策の方向感の違いなどが挙げられます。
米国の金融政策は、8月下旬のパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の講演から9月中旬の米CPI(消費者物価指数)の公表、そして、9月20日~21日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)を経て、多少の景気減速を迎えたとしても、金融政策のタカ派姿勢を続けることが明確となりました。日本については金融政策による景気下押し圧力がない分、株価の値持ちが良いのかもしれません(その代わり、為替介入や債券市場での値動きなどは影響を受けていますが)。
そのため、今後の株式市場の方向感は米国の「景気悪化の織り込み」と、米FRBの「タカ派姿勢持続」のバランスがカギを握ることになりそうです。冴えない企業決算や経済指標の軟調さは、株価にとって下押し材料となる反面、ある程度織り込みが進むと、今度はその先にある景気底打ちや金融政策の変化への思惑が働いて、株価上昇要因へと転じやすくなります。
足元の株価急反発の動きも、直近の株価下落の反動に加え、米国の冴えない経済指標や、景気悪化を織り込むリスク回避の債券買いよる米10年債利回りの低下、オーストラリア中銀の利下げ幅が縮小したことに対する他国の金融政策への影響を期待する動きなどがきっかけとなっています。
ただし、「どの程度インフレが落ち着き、景気が悪化すれば、金融政策の転換を検討するのか」については、市場と金融当局とのあいだに認識のギャップがあるほか、これから本格化する決算シーズンを前に、業績の下方修正リスクも燻っていますので、不安定な相場地合いはまだしばらく続くかもしれません。
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