決算期の株高シナリオも、中長期の見通しは不透明

2021/10/29

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、29,000円台を回復する場面を見せるものの、上値が重たい展開が続いています。

テクニカル分析的には75日移動平均線がサポートとして機能し、下値の堅さがうかがえる一方、上値は25日移動平均線を上放れできず、方向感に乏しくなっています。また、この25日移動平均線は5日や200日移動平均線との距離も近く、次の展開待ちの様相です。国内外では企業決算の発表が相次ぎ、決算動向に反応する個別物色の動きも見られますが、TOPIXよりも日経平均の値動きが大きくなっていることから、週末の国内総選挙を控えた様子見の方が強くなっている印象です。

となると、選挙後となる来週に、あらためて市場が業績動向を積極的に織り込みに行けるかどうかが目先の焦点になります。選挙の結果を好感できるかどうかは未知数ですが、来週も国内ではトヨタや任天堂などをはじめとする600銘柄弱の企業が決算を発表する予定です。これまでの国内企業決算に対する市場の反応は、素直に上昇する銘柄もありますが、今週、業績見通しの上方修正を発表した日本電産が売りの初期反応となっています。

また、業績見通しの下方修正を発表する銘柄も少なからず見受けられており、供給網(サプライチェーン)の混乱に加え、原油価格などのコスト高の影響が業績やその見通しに反映されていると思われ、相場全体の方向感は非常に読みにくくなっているほか、個別銘柄の選別も強まっていきそうです。

足元の日本株は、決算を受けて主要株価指数が最高値圏で推移している場面を見せた米国株市場とは対照的になっていますが、その米国では、決算発表のスケジュールがそろそろ落ち着きを見せつつある中、来週は11月相場入りとなることもあり、月初恒例の雇用統計や、FOMC(連邦公開市場委員会)の結果待ちムードとなる可能性があります。さらに、PMIの発表や、債務の利払いが立て続けに予定されている中国恒大集団の動向も気掛かりです。

来週の株式市場は「不安の崖」をよじ登れるかが試される週になりそうです。

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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