不安を跳ねのける株式市場の上昇はいつまで続く?

2020/05/29

今週の国内株市場ですが、26日(火)の取引で日経平均が節目の21,000円台に乗せてきました。少し過去に遡ると、最後に終値ベースで日経平均が21,000円台をつけていたのは3月6日でしたが、当時は大阪のライブハウス2件で新型コロナウイルスの感染が拡大し、「クラスター」という言葉をよく耳にするようなった時期でした。

 

足元の株式市場は、新型コロナウイルスの感染拡大や米中摩擦への「不安」と、経済活動再開の動きやウイルスワクチン開発への「期待」とのシーソーゲーム中で、後者の期待が優勢になっている状況です。また、今週は国内で非常事態宣言が全面解除されたことや、2020年度の2次補正予算での大規模な経済政策への期待などが支援材料になっています。

 

さらに、「ウィズ・コロナ」および「アフター・コロナ」の世界をにらみ、リモートワークや巣篭り、医療といった生活・社会のデジタルシフトへの変化や、それを支えるITや半導体などの技術関連の銘柄が物色されているほか、コロナショックによる株価下落を投資のチャンスと捉えた個人投資家が増えていることも株高を演出しています。

 

「相場は不安の崖を這い登る」という言葉そのものを表している印象ですが、株式市場の上昇はどこまで続くのでしょうか?

 

株式投資において利益が狙いやすいのはトレンドが発生している時です。実際に、日経平均は3月下旬から上昇トレンドとなっており、22,000円台を目指す可能性があります。たとえ過熱感があると言われようが、「行き過ぎた株価は後で修正されるのだから、行けるところまで行ってしまえ」というノリですが、とはいえ、注意しておきたい節目もあります。

 

まず、ひとつめは今週末です。中国検討されている「国家安全法」の採決が、全人代(全国人民代表大会)の最終日である28日(木)に行われます。米中摩擦の火種となっている事案のため、採決後に米中のあいだでより厳しい制裁や報復などの行動に現れると、市場のムードが暗転する可能性があります。

 

そして、ふたつめは6月中旬です。具体的には6月第2週の週末メジャーSQあたりです。ちょうど2週間後になりますが、緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルスの感染者の動向が出始めるタイミングと重なります。思っていたよりも感染者が増加していた場合には、経済活動再開のペース鈍化と今後の対応への警戒が強まってきます。

 

足元の相場の強さを素直に受け止めて良いのですが、少なくとも市場が織り込んでいる未来と実際の現実とのあいだにはギャップが存在しており、相場の調整局面への引き金がいつ引かれてもおかしくない状況であることを意識しながら相場に臨む必要がありそうです。

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