経済活動再開と感染再拡大の裏表

2020/05/15

今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は2万円台を超えた水準で上げ下げをしている状況が続いています。2月6日高値(23,995円)から3月19日安値(16,358円)の下げ幅(7,637円)のいわゆる「半値戻し(20,176円)」を達成したところで足踏みをしているような状況です。

 

チャートで上方向に視線を向ければ、75日移動平均やその先にある21,000円台が見えていますが、直近までの相場の良好なムードや、積み上っている「裁定売り残」の買い戻しという需給要因などによって、21,000円あたりまで上昇する可能性は十分にあります。また、先週末8日(金)時点の日経平均のPBR(株価純資産倍率)が0.96倍でしたが、1倍までの上昇を計算すると、21,000円ぐらいになります。

 

反対に、「ちゃぶ台返し」の懸念も存在しています。

 

その懸念のひとつとして挙げられるのが足元の市場が好感している経済活動再開に向けた動きです。世界各地の状況を見ると、ウイルス感染の抑制やピークアウトに伴って実施されるところがある一方で、根拠に乏しい見切り発車や経済停止懸念、国民の不満の圧力などに押されて再開されているところなどが混在しており、国内外で感染の再拡大リスクと隣り合わせの面があります。

 

もちろん、感染の再拡大自体は市場もすでに想定済みで、相場のメインシナリオが「アフター(After)・コロナ」から「ウィズ(With)・コロナ」へと変わりつつありますが、新興国はまだ感染拡大中の地域が多いほか、先進国でも、次の感染拡大に向けた体制強化や準備、支援策をどこまで整えているかについて状況はまちまちです。

 

現時点では感染再拡大への対応力がこれから試されている段階です。上手く付き合っていくことができれば良いのですが、早計な経済活動再開が却って事態を長引かせてしまう恐れもあります。

 

そのため、本格的な経済活動再開までの道のりは足元の株価上昇ピッチが示しているほど早くはないことが考えられるほか、米中関係の悪化懸念などの火種も燻っており、再び株価の調整局面が訪れる可能性には注意が必要と言えます。

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