「原油価格のマイナス」と「金利のマイナス」

2020/04/24

今週の日経平均はこれまでのところ、19,000円の節目近くで弱含む展開となっています。先週末の段階では、「近いうちに20,000円台乗せ」の見方が優勢だったことを考えると、ムードがやや後退する格好となっています。

 

その要因のひとつが原油価格です。5月もののNY原油先物価格が20日の取引で史上初のマイナスに沈む場面がありました。もっとも、マイナスの価格になったのが、清算日が迫っていた5月ものであるということを考慮する必要はあります。原油の受け渡しを行う貯蔵施設の容量が逼迫していることが判明し、「現物を受け渡されても貯蔵先を確保できないのでは?」と考えた投資家の売りが多く出ました。

 

原油という「モノ」の値段がマイナスとなったこと自体は、市場にかなりのインパクトを与えたわけですが、すでにマイナスが実現している金利と比べると、意味合いはかなり違うと言えます。

 

まず、金利のマイナスについては、「カネ回りを良くして景気を刺激しよう」ということで実施されました。こうした考えはリクツ的には間違ってはいないのですが、そもそも金利は、資金を保有している人から必要な人に流れて、その対価としてリターンを得るという「インセンティブ」の役割があります。ところが、金利をマイナスにすると、このインセンティブが「ペナルティ」になるという視点に欠けていた面があるため、狙っていた効果よりも副作用の悪影響の方が心配される状況になりつつあります。

 

マイナス金利は金融政策によって意図的に実現した一方、原油価格のマイナスについては、貯蔵施設のキャパオーバーを心配した投資家の売りという取引の結果です。マイナスになったとはいえ、一応は市場の機能は働いていると言えます。「モノ」である原油価格が今後もマイナスになる可能性は出てきたものの、基本的にはその状態が長く続くことはないと思われます。

 

いずれにしても、貯蔵施設に大量の原油があるという状態は、新型コロナウイルスの影響などもあり、それだけ需要が低下していることを意味します。原油価格というと、OPECなどの産油国を中心に生産量がコントロールされ、価格決定は供給側が重要な役割を担ってきましたが、ここにきて需要側の存在が高まってきた印象ですので、しばらくは原油価格の低迷が続きそうです。

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