足元の株価上昇は年末までの株高トレンドにつながるか?

2019/09/13

今週の国内株市場はこれまでのところ戻りを試す展開となっています。先週の半ばに突如として上昇した日経平均ですが、今週もその流れが続き、911日(水)の終値(21,597円)は、81日以来の21,500円台乗せを達成したほか、7営業日連続の上昇を見せています。

 

先週はデモ活動に揺らぐ香港で「逃亡犯条例」の改正案が完全撤回されたことに加え、英国議会(下院)がEUからの離脱延期を政府に義務付ける法案が可決されてブレグジット不安が後退したこと、米中の閣僚級協議が10月上旬に再開すると発表されたことなどが重なり、株価を大きく上昇させるきっかけになりました。

 

今週はその米中協議の再開が控える中で、中国企業の華為技術(ファーウェイ)が米政府に対する訴訟の一部取り下げを発表し、ファーウェイへの制裁緩和を条件に中国が米国の農産物を購入する方針と報じられるなど、米中間の融和ムードが拡大したほか、中国やドイツなどの経済政策への期待が強まったこと、ECBFRB、日銀などによる金融緩和観測の高まりなどが加わる格好で、これまでの世界景気の減速懸念や悲観色が後退したことが上値を伸ばしています。

 

では、足元の株価上昇が年末株高に向けたトレンドに発展するのかと言うと、現時点ではそれを判断するのは早計かもしれません。

 

先ほども触れた通り、日経平均21,500円台の回復は約1カ月半ぶりとなりますが、当時は7月末のG20大阪サミットに合わせて行われる米中首脳会談への期待感でつけていた株価水準です。米中関係はこれまでも「事態の悪化と協議の再開」というサイクルを繰り返してきましたし、協議が再開されたところで具体的な進展があるとは言い切れません。また、香港のデモがこのまま収束されるのか、そしてブレグジットを巡る情勢も依然として先行きは不透明です。

 

さらに、最近の株価上昇は出遅れが目立っていた輸出関連株や、資本財や素材、エネルギー株などが買われる一方で、これまでのけん引役だったハイテク株やディフェンシブ株は上値が伸ばせていないなど、資金は成長株よりも割安・出遅れ株を中心に向かっている印象です。

 

割安感の修正だけで株価の上値を追っていくのは困難なため、足元の株価上昇はあくまでも8月のレンジ相場で溜まったうっぷんを晴らすガス抜き的な動きによる「一時的なボラティリティの高まり」の可能性があり、足元の株価上昇は長くは続かないと考えることもできるわけです。

 

継続的な株高につながるかは、今週末のメジャーSQを通過した後の動きが注目されることになりそうです。

 

 

 

 

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