「ふらつく」日経平均は景況感の先行きを織り込んでいるのか

2019/03/15

今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は少々荒っぽい値動きを見せています。週初の11日(月)に21,000円台を下回る場面があったかと思えば、翌12日(火)は大きく「窓」を空けて上昇、そして13日(水)は再び下げに転じ、14日(木)は反発してスタートするなど、方向感がない割に値動きが大きくなっています。

 

テクニカルチャートに目を向けると、2月以降の日経平均はいわゆる「窓」空けが多くなっていて、前の晩の米国株市場の動きなどに合わせて株価水準が切り上がったり、切り下がったりを値が飛ぶような様子を演じています。

 

今年に入ってからの日経平均は結果的に順調に戻り基調を辿ってきたわけですが、2万円台、21,000円台、75日移動平均線、21,500円台、そして昨年末に下落幅の半値戻しである21,698円などの節目を上抜けるタイミングはこの「窓」空けによってもたらされています。つまり、国内株市場の取引時間中に節目を超える場面が少なく、米中などの海外市場に振り回されやすい危うさを抱えているわけです。

 

また、株価を動かす材料についても「ふらつき」がみられます。

 

上昇が目立った今週12日(火)の取引の背景にあるのは、前回冴えなかった米経済指標(小売売上高)が持ち直したこと、パウエルFRB議長の発言がハト派寄りで安心感を与えたこと、英国のEU離脱(ブレグジット)について「合意なき離脱」を回避できそうな期待が高まったこと、米中の閣僚が電話協議を行ったとの報道で米中摩擦への楽観が強まったことなどが挙げられますが、これらは特に目新しい材料ではありません。

 

米中関係をはじめ、ブレグジットを巡る動向、米国や中国経済のピークアウトおよび減速など、いずれの要素も世界景気の後退や企業業績悪化へとつながりかねないものとして警戒され始めてからかなりの時間が経ちますが、依然として不透明な状況に変わりはありません。

 

足元の株価の変動は景況感の先行きを織り込んでいるわけではなく、日々コロコロと入れ替わる不安と期待のムードの変化によってもたらされている点は意識しておいた方が良さそうです。とりわけ、日本株は世界の景気敏感株の様相を強めていますので、昨年夏場に見せたような値幅の広いもみ合いが続く可能性もありそうです。

 

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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