急落&急騰を繰り返す相場はまだ下げ局面
世の中が一気に変わってしまった。世界中で新型コロナウイルスが蔓延し患者数が激増。武力を伴わない戦争状態であり、まさに戦時中だ。人々の行動が極度に制約され、経済活動は青息吐息。こうした状態が長引けば大量の失業時代がやって来ることは間違いない。今は経済活動をシャットダウンしてでもウイルスの終息を優先させるべきだと思う。さて遅くなったが、2月のポートフォリオの状況と3月の近況について記したい。
2月のマーケットは日米市場ともに急落する展開となった。
米国市場は大幅続落。2月の第3週までは主要3指数ともに過去最高値更新。1月の雇用統計は予想の+16万人に対して+22.5万人と大きく上回り企業業績も好調なことから買い優勢に。中国人民銀行による19兆円もの公開市場操作や、中国政府が750億ドル分の米国輸入品の関税を10%から5%へ引き下げたことも好感。しかしながら、新型コロナウイルスが世界中で拡大し、米国内においても市中感染を確認したころから不安が広がり2/27のNYダウは1190ドル安と過去最大の下げ幅を記録。長期金利は1.15%まで低下。2月のNYダウは25409ドルと前月より2847ドル下落し月間騰落率は-10.1%。ナスダックは8567となり583ポイント下落の-6.4%となった。
東京市場も大幅続落。中国での新型肺炎の治療薬発見の報道や中国政府の景気支援策にも期待が高まり、先物による買い戻しが活発化して日経平均は一時24000円手前まで上昇。
しかし、10-12月のGDPは年率-6.3%と急減したことや、日本国内での感染者の広がりに警戒感が広がり徐々に売り優勢に。月末は政府による感染防止策の発表や相次ぐイベントの中止、企業活動の自粛などを受けて投資家不安が高まり、個人投資家による追証に絡む投げ売りも顕著に。為替は先月末の109.05円から一時112円となるものの今月末は108.90円で着地。売買代金は2.6兆円と徐々に商いが膨らむ。2月の日経平均は21142円で取引を終え、1月末の23205円から2062円下落し月間騰落率は-8.9%、Topixは-10.3%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-13.1%、マザーズ指数は-14.9%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における2月のパフォーマンスは-8.9%となり、年初来-10.3%、累計では+134.9%(1月末+157.9%)と大きく後退。2月末時点のポートフォリオの株式比率は70%で27銘柄を保有(1月末は78%で31銘柄を保有)。株式部分の含み益は+14.6%(1月末は+27.3%)。ただし、70%のうち現物株のウェートは36%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計76%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは51%のロングポジションである。
1月のマーケットは中国での新型肺炎のニュースでリスクオフムードが出たものの、2月に入ってからは買い優勢となり米国市場は過去最高値を更新、日本市場も出戻る展開となっていた。しかし、新型コロナウイルスの世界的な拡大が決定的になった2月の最終週においてリーマンショック時を彷彿とさせる急激な下落となった。これまで唯一の頼みの綱であった米国市場が大きく崩れたため、世界的な株安が加速した。企業業績の減速を想定して、株式市場は一気に最悪の事態を織り込み始めた。
3月に入り相場はさらに荒れている。NYダウにおいては連日で1000ドル以上の上昇と下落を繰り返し、相場の先行きの心理的状況を示すVIX指数が急上昇。3月第3週のNYダウは4012ドル下げまさにリーマンショックと同等の動きとなった。第4週は一転して急反発。新型コロナウイルスの感染拡大は一向に衰えることなく、米国の感染者数は中国を抜いて世界トップに、また日本でも感染者数が急増しておりオーバーシュートの懸念が広がり、世界中の経済活動が一段と低下している。しかし、マーケットは単純にそういう事象だけを反映するわけではない。欧米での大型経済対策発表が好感され、それが大きな買い戻しを誘う形となっている。
「ではもう買いか?」という質問には「ノー」だ。急落&急騰を繰り返す局面においては、さらなる二番底、三番底を探る展開となることが多く、NYダウにおける直近安値の18591ドル、日経平均における16552円がボトムと見るのはまだまだ時期尚早である。引き続き、マーケットを注意深くウオッチし様子見するのが賢明であると思う。東京が他国のようにロックダウンされれば一段安となる可能性が高い。
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