トランプイニシャティブの奏功で情勢急速に安定化へ
~予想される北朝鮮・中国の譲歩と日本株大バーゲン~

【ストラテジーブレティン(197号)】

(1) トランプの氏強硬姿勢が生み出した東アジア情勢の急展開

主導権握るトランプ政権
平昌オリンピック以降、韓国北朝鮮会談、米朝会談予定の発表、金正恩氏の電撃北京訪問と中国北朝鮮会談など、北朝鮮情勢は矢継ぎ早の変転を見せている。他方でトランプ政権による対中貿易制裁を視野に入れた圧力の強化、「米中貿易戦争」が勃発した。これらの情勢変化のすべてはトランプ政権の強硬なイニシャティブによって起こったもの、ということが重要である。北朝鮮と中国のマヌーバーは米国の圧力の高まりに対する対応に過ぎず、情勢展開のカギは米国トランプ政権が握っている。米国を射程に入れた核・弾道ミサイルの完成前に北朝鮮が対話を模索し始めたということは、対北経済制裁と米軍による軍事威圧に、金正恩氏が耐えられなくなった現れである。また後述するように米中疑似貿易戦争において中国は一方的な譲歩をせざるを得ない。今後の展開はトランプ政権が何を目指しどう動くかにかかっていると言ってよい。ではトランプ政権の揺らぐことのない長期目標は何かと問えば、北朝鮮の非核化、中国のフリーライドによる経済台頭の阻止、米国覇権の強化であることは明白だ。中国・北朝鮮は米国が容認できるところまで譲歩し、一時的安定化を図るという方策しかない。トランプ政権側にも妥協が必要である。北の非核化も中国のフリーライド阻止も長期獲得目標であり、そのために目先の経済成長や人々の安全を損なってはならないということである。対北武力行使、対中国貿易戦争といった正面衝突の可能性が当面排除されたと言える。

譲歩必至の北朝鮮・中国
北は非核化の意思を行動によって証明しなければならない。中国は米国が納得するところまで通商交渉を譲歩しなければならない。不安定化していた金融市場は、北朝鮮と中国の譲歩による地政学・通商リスクの軽減を大いに評価する局面へと移行するだろう。

 

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