日本株投資、秋の陣が始まった

【ストラテジーブレティン(339号)】

否定された米国株暴落シナリオ
注目された2023年8月のジャクソンホール会議が終わり、市場に安堵感が戻りつつある。2022年は同会議でのパウエル議長のタカ派的発言により、主要国株式が10%程度の急落となった記憶があり心配されたが、今年は大きな波乱は起きなかった。悲観的な論者の共通の懸念はインフレ・利上げで、米国の景気後退は避けられないとする米国不安であったが、ジャクソンホールからのメッセージは、今は利上げの最終局面、FRBはリセッションを避けつつインフレ克服に成功できるというもの、米国発株安のシナリオはほぼ打ち消されたようだ。経済の緩やかな減速がはっきりし、インフレは着実に沈静化し、利上げはあと一回必要かどうかの最終段階にある。銀行破綻連鎖や資産価格暴落による信用収縮の可能性が抑え込まれた今、リスクは何らかの理由による突然の経済失速しか考えられないが、それは直ちに急激な金利引き下げ期待を引き起こし、株価を押し上げる。悲観論者はそろそろ白旗を上げる場面であろう。

日本株秋相場の見方は2つに分かれる。両者を分かつのは、3~6月の3か月で3割弱という株価急上昇を短期循環の産物ととらえるか、長期トレンドの始まりと見るかであるが、短期循環との見方には無理がある。6~8月の足踏みは一時的な日柄調整に過ぎないとみられる。日経平均に先んじてTOPIXがバブル後最高値を更新したことに、相場基調の強さが現れている(図表1)。

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