米国経済の好都合すぎる真実 (謎) と基本矛盾 ① 米国経済を覆う「好都合すぎる真実」、偽りなのか?
【ストラテジーブレティン(325号)】
今の米国経済をどのように捉えたらいいのだろうか、常識的解釈では説明がつかない、好都合な謎が多発している。労働市場は1年以上にわたる金融引き締め、ハイテク大企業のレイオフ続出にもかかわらず、活況が続いている。さらに不思議なことに、旺盛な労働需給の下で賃金上昇率が低下し始めた。また、金融市場でも一年間で8回、累計4.5%の利上げにもかかわらず、潤沢な投資資金が健在で、新興国株式や米国の低格付けクレジットを押し上げている。何故このような好都合な事象が頻発しているのか、この謎は一時的なもので、景気悪化が深刻になる過程で消えていくものなのか、それとも持続し米国経済を支え続けるのか。
(1) 労働市場の謎
絶好調の米国労働市場
1月の雇用統計はほぼすべてのエコノミストにとってサプライズであった。雇用が絶好調で、失業率は3.4%と53年ぶりの水準まで低下した。雇用増加数は51,7万人と予想を大幅に上回り、2022年8月以降の26~35万人台の増加トレンドから加速しているとも見られる強さである。雇用はほぼ全産業にわたって増加(利上げにより住宅着工が落ち込んでいる建設部門でも増加)している。歴史的利上げ、大手ハイテク企業中心にレイオフの発表が相次いでいる中でのこの労働市場の好調さは、尋常ではない。
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